中華スマホに席巻されたインドのモバイル市場だが
Jio Phoneという安くて面白い存在がある
インドで売られるスマホはもはや小米(シャオミ)やvivoやOne plusなど中華スマホばかり。以前は頑張っていた地元資本のMicromaxはもはや虫の息で、家電量販店を見ても個人のモバイルショップを見てもほぼインドブランドの存在が見えない(「インドに進撃する中華スマホ」)。
となれば、インドのモバイル事情は完全に中国化して、オリジナル端末は全然なくてツマラナイ……と思いきやとんでもない。このインドにはすごく面白い「スマートフィーチャーフォン」がある。それがKaiOS搭載の「Jio Phone」だ。
KaiOSは、AndroidでもiOSでも、あるいはノンブランドフィーチャーフォンに搭載されていたMTK OSとも異なる。フィーチャーフォンに特化したOSだが、グーグルが出資したことでYouTubeやGoogleマップなどのグーグル系サービスやFacebookなども使える。
操作感覚はいわゆるガラケーで操作するような、あるいはWindowsを十字キーやゲームパッドだけで操作するような感覚だ。詳しくは他の筆者によるものになるが、「ケータイ復活!? グーグルが出資のKaiOS搭載機が世界で増加」や「Googleの支援で生き残ろうとしている“第3のOS”「KaiOS」 ケータイ特化で成功」といった記事に書かかれているので、このOSが登場した経緯なども含めて、そちらを読んでほしい。
この記事では、実際のインドでの購入記や販売状況、およびアプリについて紹介していく。
最初に驚いたのはJio Phoneが本当に売られていたことだ。というのも筆者は、インドで貧困層救済を目的とした激安100ドルデバイス(スマートフォン以前の時代はありえないほどの安さだったのだ)が発表されては、インドの街を徘徊し、そして見つけられずに悔しい思いをしてきた。モバイルショップのインド人に「あんなニュース、リップサービスで誰も信じないよ」とよく言われたものだ。これまでのインドの貧困層向けデバイスは絵に描いた餅だったのだ。
しかしJio Phoneは違った。家電量販店「Reliance Digital」で山積みされて売っていたのだ。また個人商店のケータイショップにも高確率で置いてあった。何度目の正直なのだろうか、本当に量産して販売していたのだね……と感極まった。それもそのはず、今までのそうしたガジェットは無名に近い企業が手を挙げていたのだが、今回はショップと同じく財閥系のキャリア「Reliance Jio Infocomm」で699ルピー(1000円強)で売っていたのだ。
インドメディアによれば、2017年8月に発売してから2019年6月までに5000万台を販売したという。本当であればインド製デジタル製品としては、またKaiOS製品としては大ヒットといえよう。ちなみにQWERTYキーボードの「Jio Phone2」というのがあるそうだが、こちらは店舗での販売は見ることがなかった。おそらくあまり売れていないのではないか。
1000円強で4GやVoLTEに対応
インドで設計されたインド産ケータイ
699ルピー。日本円では1000円強で、まさに10ドルモバイルデバイスである。これは買うしかないと「買いたい」と店員に伝えたものの、「通信サービスとセットで販売されている。SIMロックがかかっていて、Reliance Jio InfocommのSIMでないと利用できない。外国人がSIM付きで契約するにしても審査に10日はかかる」という。つまりキャリアによる割引が含まれる価格なのかもしれないが(それでもECサイトでは約1300ルピー、約2000円で販売されていた)、ところがそれでは困る、無線LANで使う、SIMが使えないのはわかったと説明したら、699ルピーで販売してくれた。
簡単にスペックを紹介すると、通信は4G(VoLTE)に対応し、タッチパネル非対応の2.4型QVGA液晶、1GHzのデュアルコアCPU、2000mAhバッテリー、512MBメモリー、4GBストレージ、2メガカメラとVGAのインカメラ、GPS、Wi-Fi、FMラジオ、Bluetooth、NFCを搭載する。1000円にしては実に盛りだくさんだ。
今回のJio Phoneの正式な製品名はRelianceによるLYFブランドの「F220B」。生産した企業は「Flextronics Technogies India」とある。箱には「Designed in India, for India」と書かれていた。(資本や技術は海外からのものかもしれないが)まさにインド人によるインド人のためのスマートフィーチャーフォンを手に入れたわけだ。
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