内蔵NFCによるキャッシュレス決済から勝手アプリの追加まで
いろいろな楽しみ方があるJio Phone
KaiOS搭載のJio Phoneはもちろんスマートフォンに比べれば非力だ。シャオミなどの中華スマホが人気な中で、お金にさほど困ってない人はそちらに走って当然だ。インドの大都市の街中で見るモバイルユーザーはほぼほぼスマホユーザーだ。Jio Phoneのターゲットは、スマートフォンが買えないモバイル初心者となりそうだ。中国製品では、本当に高齢者や子供に考慮した製品は見たことがない。しかしJio Phoneはよくできている。
1つにはもっさりするほどにはスペックは低くはなく、ストレスが溜まらないということ。前述のようにYouTubeやGoogleマップやFacebookのアプリが入っており、たとえばYouTubeで動画を再生してもひっかかることはない。タッチパネルはないが、Googleの音声入力がフォローしてくれる。カメラのクオリティーが低いのが難点で、カメラさえもう少し良くなれば、自撮りをする人をよく見るインドでさらにファンを増やしたのではないかと思われる。
加えてJio Phone独自のアプリも豊富にある。Reliance Jio Infocommの専用SIMを挿していないと使えないが、音楽、テレビライブ、映画といったコンテンツが大量が用意されていて、インド人のヒマつぶしニーズに応えるものとなっている。またFMラジオも付いている。
さらに電子決済アプリ「Jio Pay」が用意されていて、内蔵NFCを利用した支払いに対応しているほか、ソフトバンクが出資し、PayPayにもその技術が一部使われているというインドのキャッシュレス決済「Paytm」も利用できる。さらにインドの各種公用語に対応した、英語を学べる学習アプリまで入っている。
公称では5000万台以上売れていることで、Jio Phoneを使いこなそうとするインド人ユーザーによる動画解説もYouTubeで多数アップされている。インドの各種公用語で話すものもあるが、インドなまりの英語で解説するものもあり、日本でも聞き取れるものはあるだろう。
解説動画の中には、デフォルトのアプリストアにないアプリをダウンロードしてインストールするといった内容のものもある。こうした使い方で、KaiOS向けのTwitterアプリやInstagramアプリを追加することも可能だ。ちょっと手間はかかるが、iPhoneユーザーの間でかつて流行ったJailbreakのようなことをするわけだが、こうした作業が楽しいと思う人ならたまらないだろう。
マイナーOSというと、環境が中途半端で使えないという印象があったが、1000円でここまで興味深い端末ができているとは思いもよらなかった。インドに行く機会があれば、1000円ほどなので買っていじってみるのをお勧めする。
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