アーケードシューティングの“正当進化”
昔からゲームセンターでは、銃型のコントローラーで画面のターゲットを射撃し、スコアを稼いでいくタイプのアーケードタイプが設置してあった。
筆者も子供のころプレイした覚えがあるが、平面的なディスプレーを狙って射撃するそのころのタイトルでも十分に白熱したのを覚えている。VAR BOXはそんなアーケードシューティングの“正当進化”といったイメージだ。
まず、VAR BOXの筐体についてだが、筐体の大きさは、989(W)×608.9(D)×2165(H)mmと、従来の施設設置型VRアーケードマシンと比べるとかなりコンパクトなサイズだ。
コンテンツ的にも、歩き回ることを想定したゲームではなく、VRでいう「立位」の状態でプレイする内容のものになっている。プレイする人の体格にもよるが、1.5m四方ほどのスペースがあれば十分に遊べるだろう。
現在日本で展開しているVRアミューズメント施設などでは、VR体験の質に重きを置き、大掛かりな装置や10mクラスの広いプレイエリアを導入しているものも多い。
もちろんそうした施設でのVR体験はクオリティーの高い確かな満足感を得られるものだが、大掛かりなVR装置は一般のゲームセンターなどに置くのは難しく、結果的に体験できる場所がかなり限定されてしまう。
対してVAR BOXは、あまり広いスペースが必要ないので、様々な場所に設置できる。現に今回イベントを実施したAKIBA★BASEは、本来はカフェ/バーとして運営している店舗で、それほど広いスペースがあるわけではないが、それでも2台の筐体で同時に遊べるくらいだった。
また、1プレイ300円という料金設定も嬉しい。本格的なハイクオリティーのVRコンテンツを家庭でプレイしようとすると、20万円クラスのゲーミングPC+10万円クラスのVRデバイスなど、とても簡単には出せない金額がかかる。
VRアミューズメント施設などのコンテンツも、安くても1プレイ1000円など、それほど気軽には体験しづらいのが現状だ。そうした中、VAR BOXはまさにゲームセンター感覚の気軽さで遊べるくらいの価格なのが嬉しいところ。
“VRは高い”というイメージを払拭するような、「せっかくだしちょっとやってみるか!」みたいなテンションでVRを体験できるのはかなりいいところではないだろうか。
加えて、実は「大型のディスプレーでプレイ映像が見られる」というのも大事なポイント。VRでは、プレイヤーはヘッドマウントディスプレーをしているため、プレイ中の映像は周りの人からは見えない。
これが意外と重要で、遊んでいる人は楽しくても、周りの人とその楽しさを共有できないのだ。このVRならではの弱点を克服する設計になっているのは、大きな魅力といえる。特にアーケードゲームの設置場所などは、周りに人がいる場合が多いため、「今の見た!?」と周りの人と盛り上がれると楽しいだろう。
また前述の通り、VAR BOXでは、本格的な“VR eスポーツ”タイトルとしての展開も予定しているとのこと。
今春にはeスポーツトーナメントとして「JAPAN CUP」を開催し、好成績を収めたプレイヤーを日本代表として世界大会に招待するという。現在VAR BOXはアジアを中心に5か国で展開しており、2020年中にはさらに10か国のインストールを目指しているそうだ。
VAR BOXは、導入ハードルの低さや価格設定などの遊びやすさに加えて、今流行のeスポーツ面で注目を集められれば、VRのすそ野を広げるという面でも活躍しそうに感じる。今後の展開に注目していきたい。