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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第543回

スパイ事件で信用が失墜したHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年12月30日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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EDSを買収し業績が回復

 スパイ事件でDunn氏が辞任した後、CEOに就任したHurd氏。そのHurd氏が在任中の状況をまとめてみた。下表が総売上と営業利益/純利益をまとめたもの、さらにその下の表が2002年以降の部門別売上と営業利益をそれぞれまとめたものである。

HPの総売上と営業利益/純利益
年度 総売上 営業利益 純利益
2001 452億2600万ドル 14億3900万ドル 6億8000万ドル
2002 565億8800万ドル -10億1200万ドル -9億300万ドル
2003 730億6100万ドル 28億9600万ドル 25億3900万ドル
2004 799億500万ドル 42億2700万ドル 34億9700万ドル
2005 866億9600万ドル 34億7300万ドル 23億9800万ドル
2006 916億5800万ドル 65億6000万ドル 61億9800万ドル
2007 1042億8600万ドル 87億1900万ドル 72億6400万ドル
2008 1183億6400万ドル 104億7300万ドル 83億2900万ドル
2009 1145億5200万ドル 101億3600万ドル 76億6000万ドル
2010 1260億3300万ドル 114億7900万ドル 87億6100万ドル
2005~2010年の部門別売上
年度 IPG HPS PSG ESS
2002 203億2600万ドル 90億1000万ドル 218億9500万ドル 111億4600万ドル
2003 226億2300万ドル 123億500万ドル 212億2800万ドル 153億7900万ドル
2004 241億9900万ドル 137億7800万ドル 246億2200万ドル 145億9300万ドル
2005 251億5500万ドル 155億3600万ドル 267億4100万ドル 167億100万ドル
2006 267億8600万ドル 156億1700万ドル 291億6600万ドル 173億800万ドル
2007 284億6500万ドル 166億4600万ドル 364億900万ドル 187億6900万ドル
2008 293億8500万ドル 209億7700万ドル 422億9500万ドル 194億ドル
2009 240億1100万ドル 346億9300万ドル 353億500万ドル 153億5900万ドル
2010 257億6400万ドル 349億3500万ドル 407億4100万ドル 186億5100万ドル
2005~2010年の部門別営業利益
年度 IPG HPS PSG ESS
2002 32億4800万ドル 8億9100万ドル -3億7200万ドル -6億5600万ドル
2003 35億7000万ドル 13億7200万ドル 1900万ドル -5400万ドル
2004 38億4700万ドル 12億6300万ドル 2億1000万ドル 1億4200万ドル
2005 34億1300万ドル 15億1100万ドル 6億5700万ドル 8億1000万ドル
2006 39億7800万ドル 15億700万ドル 11億5200万ドル 14億4600万ドル
2007 43億1500万ドル 18億2900万ドル 19億3900万ドル 19億8000万ドル
2008 45億9000万ドル 25億1800万ドル 23億7500万ドル 25億7700万ドル
2009 43億1000万ドル 50億4400万ドル 16億6100万ドル 15億1800万ドル
2010 44億1200万ドル 56億900万ドル 20億3200万ドル 24億200万ドル

 ただ自分で出しておいてなんだが、少しイメージがわかりづらいのでグラフも示してみた。下のグラフが売上/利益で、左軸が売上、右軸が営業利益/純利益である。

HPの総売上と営業利益/純利益

 2005年は売上はともかく、利益率がガクッと下がった年であり、ここからHurd氏は急速にHPの財務状況を改善していく。実際2005年と2010年を比べると、売上高は5割増といった程度でしかないが、営業利益は3.3倍、純利益は3.5倍に増加しており、この数字だけを見ていれば申し分ない。

 下のグラフが部門別である。ここでの略称は以下の通りとなっている。また、一覧表ではあまりに数字が少ないのでSoftware/HPFSは省いて紹介したが、グラフの方はこちらも突っ込んでみた。

略称と正式部門名
略称 部門名
IPG Imaging and Printing Group
HPS HP Services(のちにServicesと総称:理由は後述)
PSG Personal Systems Group
ESS Enterprise Storage and Server
Software HP Software
HPFS HP Financial Services

2005~2010年の部門別売上

2005~2010年の部門別営業利益

 さて、2005年までは? というと、売上は各部門それなりに拮抗しつつも、営業利益はIPGが大半を稼ぎ出しているという構図で、実際グラフ3の2005年は営業利益の半分以上がIPGによるものである。

 ところがここから各部門ともがんばって売上と営業利益を伸ばしており、2008年にはIPGの営業利益は全体の36%ほどになり、そして2009年はServicesに抜かれるという事態になっている。なにが起きたかというと、EDSの買収である。

 EDSは連載495回でも触れたが、米国の独立系ITサービスの会社であり、コンサルティングなども手掛けている。2007年度における売上高は221億ドルほどであったが、HPはこのEDSを2008年に買収する。

 ただ、既存のHP Servicesに統合というのもすぐには難しいため、まずはHP Enterprise Servicesという部門とされ、既存のHP Servicesと並ぶ形になった。これが、HPSが途中で“Services”に名前が変わった理由である。

 この買収の効果は大きく、Servicesの売上はPSGに匹敵するほどとなり、営業利益も全部門でトップに躍り出た。もちろんIPGも別に不調というわけではなく健在であり、この結果として2010年には非常にバランスが良くなったと言えよう。

 PSGやESSは景気の影響を受けやすいので2009年は一時的に売上を落としているが、2010年にはこちらも復調。ServicesやIPGに比べると利益率は低いとはいえ、どちらも20億ドル以上の営業利益を上げ、ビジネスとして存続できる筋道が立ったと言える状態になった。(続く)

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