CEOにGerstner氏が就任
事業の切り売りを見直し
さて、そのAkers氏の後を受けてIBMのCEOになったのがLouis V. Gerstner, Jr.氏である。Gerstner氏はIBM史上初めて、外部から招聘されたCEOである。
画像の出典は、IBM News Room
Gerstner氏はもともと大手コンサルタント会社であるMcKinsey & Company, Inc.の出身である。その後クレジットカードのAmex、次いで食品会社のRJRナビスコのCEOを務めて、1993年にRJRナビスコを退任、そのままIBMのCEOに就任した。最近の言い方をすれば、典型的なプロ経営者である。
そのGerstner氏、最初にやったことはAkers氏の下で行なわれていた事業の切り売りの見直しである。IBM Researchの売却は中止されることになった。ただし、60億ドルの予算は10億ドル削減され、さらに長期的な基礎研究から短期的な応用研究へのシフトを研究者に求めている。
要するに顧客の直接的な問題を解決するための研究に重点を置くということで、そのためには顧客の元に赴いて、一緒に問題に取り組む時間を増やすように、という話である。当然ながらこの方針変更は基礎研究に携わっていた研究者の反発を買うことになり、少なからぬ研究者がこの時期にIBM Researchを去っている。
さて、これに続いて行った一連の改革は、ハードウェアからサービスへの転換と理解されている。これまでIBMのビジネスの主体はハードウェアを売ることであり、それに付随して(ハードウェアを売るために)ソフトウェアを売っていた格好だが、ここから同社は急速に主役を入れ替えていく。
まず最初に手掛けたのはGlobal Service Divisionへのテコ入れである。これまで同部門は単にIBMの製品を販売するだけだったが、Gerstner氏はこの部門を顧客が抱える問題を解決する場所に変えた。この結果、同部門は1994年から急速に売上を伸ばし、1995年にはそれまで業界トップだったEDS(Electronic Data Systems:2008年にHPにより買収される)を抜く売上高を記録することになる。
余談だがEDSを率いていたのは、1992年と1996年のアメリカ大統領選に出馬したことでも有名なHenry Ross Perot氏である。Next Computerへの出資にも絡んで連載436回でもチラっと名前がでてきている。
あと、EDSは気が狂った(誉め言葉)CMで有名である。“EDS Airplane”、“EDS Cat Herder”、“EDS Suki”、“EDS Running of the Squirrelsあたりを検索してもらえば、YouTubeなどで引っかかるはずだ。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第868回
PC
物理IPには真似できない4%の差はどこから生まれるか? RTL実装が解き放つDimensity 9500の真価 -
第867回
PC
計算が速いだけじゃない! 自分で電圧を操って実力を出し切る賢すぎるAIチップ「Spyre」がAI処理を25%も速くする -
第866回
PC
NVIDIAを射程に捉えた韓国の雄rebellionsの怪物AIチップ「REBEL-Quad」 -
第865回
PC
1400WのモンスターGPU「Instinct MI350」の正体、AMDが選んだ効率を捨ててでも1.9倍の性能向上を獲る戦略 -
第864回
PC
なぜAMDはチップレットで勝利したのか? 2万ドルのウェハーから逆算する経済的合理性 -
第863回
PC
銅配線はなぜ限界なのか? ルテニウムへの移行で変わる半導体製造の常識と課題 -
第862回
PC
「ビル100階建て相当」の超難工事! DRAM微細化が限界を超え前人未到の垂直化へ突入 -
第861回
PC
INT4量子化+高度な電圧管理で消費電力60%削減かつ90%性能アップ! Snapdragon X2 Eliteの最先端技術を解説 -
第860回
PC
NVIDIAのVeraとRubinはPCIe Gen6対応、176スレッドの新アーキテクチャー搭載! 最高クラスの性能でAI開発を革新 -
第859回
デジタル
組み込み向けのAMD Ryzen AI Embedded P100シリーズはZen 5を最大6コア搭載で、最大50TOPSのNPU性能を実現 -
第858回
デジタル
CES 2026で実機を披露! AMDが発表した最先端AIラックHeliosの最新仕様を独自解説 - この連載の一覧へ











