会場ではエリクソンとベライゾンの協力でデモを実施
基調講演の会場では、通信機器ベンダーのエリクソンと米国キャリアのベライゾンの協力のもと、DSSのライブデモが行なわれた。デモは、同じ周波数帯を使って同時に4Gと5Gの電波を吹き、同時に端末で受信してデータ通信を行なうといった内容。4Gと5G、2つの端末が同時に通信している様子を確認できた。
また、アモン氏は5G時代には「クラウドがエッジ側に向かう」としながら、エッジサーバーとオンデバイスAIでユーザー体験が変わっていくことを解説。これらをサポートするのがSnapdragonだとアピールしつつ、ステージにシニアバイスプレジデントのアレックス・カトウジアン氏を招く。ここで同氏が発表したのが、冒頭で挙げた3つの新しいSnapdragonだ。
チップセットの詳細な性能は2日目以降、徐々に明らかになっていくため、ここでは数値情報を含むスペックはほとんど語られていないが、それぞれの位置づけは明かされている。最初に紹介されたSnapdragon 765および同765Gは、5G端末をより広く普及させるために開発されたチップセット。ドイツ・ベルリンで9月に開催されたIFAの基調講演で、投入が予告されていたものだ。これに対し、Snapdragon 865は、フラッグシップ向けの高性能なチップセットだが、5Gモデムは内蔵せず、「Snapdragon X55 5G Modem」と組み合わせて利用することが想定されている。
Snapdragon 765、765Gでは、4K HDRの動画撮影をサポート。クアルコムの第5世代AIエンジンに対応するほか、ゲーミング用の各種機能も搭載するという。これに対し、Snapdragon 865は、AI用の演算が15TOPS(Tera Operations Per Second、1秒あたりのオペレーション数)を実現。これは、1世代前のSnapdragonと比べ2倍、Androidを採用する競合ベンダー(ファーウェイと見られる)の3倍の処理能力を誇るという。1秒間に2ギガピクセルの画像を処理できるなど、ISPの力も大きく上がっている。
モトローラとシャオミも
最新のSnapdragon搭載端末をリリース予定
基調講演には、これらのチップセットを採用する予定のメーカー幹部も招かれ、ロードマップの一端を明かした。モトローラのセルジオ・ブニアック社長は、「2020年の早期に、Snapdragon 765を採用し、ミリ波とSub-6に対応した端末を発売する」と明かした。また、間もなく日本市場に参入する予定のシャオミは、共同創業者のリン・ビン氏が登壇。近く発表されるフラッグシップモデルの「Mi 10」には、Snapdragon 865が搭載されることを明かした。また、リン氏は、2020年に10以上の5Gデバイスを投入するとしながら、端末のレンジにも広がりを持たせていく方針を語った。
OPPOからは、バイスプレジデントのアレン・ウー氏が登壇。Snapdragon 865を搭載したスマートフォンを、2020年第1四半期に投入することが明かされた。また、OPPOはSnapdragon 765Gを搭載したRenoシリーズの端末も用意しているという。ノキアブランドの携帯電話、スマートフォンを手掛けるHMD Globalも、Snapdragon 765を採用した端末を発売する予定。クアルコムは、Snapdragon 865および765をモジュール化し、メーカーの実装を容易にする「モジュラープラットフォーム」も合わせて発表したが、HMD Globalはこれにも対応していく。