最後は3人が連携してのライブ開発
これまで日本でもやったことのない、栄さん、琴絵さん、金春が協力してのライブ開発デモが行なわれた。ニューヨークでは、申請業務にKintoneが使われることが多いということで、出張申請のアプリの開発デモが披露された。
先にも触れた通り、こちらではスケジュールを共有するという文化が乏しく、誰にも共有することなく出張に行ったりすることが多い。出張申請も出されないことも多く、気がついたらいないということが多発しており、現地の総務・経理部門の方の悩みのタネとなっている。
もちろん申請を出してくれないという文化についてはシステムを作ってすぐにどうにかなる問題ではないが、できるだけ面倒をかけない出張申請の仕組みを用意することは大切だ。そこで今回3人でいかに短時間で便利なシステムを開発できるかというチャンレジをライブ開発という形で行った。
まず、琴絵さんがシステム39の手法を用い、参加者にヒアリングを行ないながら、Kintoneでアプリを作成していく。会場に必要な項目をヒアリングし、開始日時・終了日時以外にも交通費、宿泊費、出張手当が追加された。
基本のフォームができたら、申請のための承認フローを作っていく。Kintoneのプロセス管理を利用し、「承認前」-「承認中」-「承認済」というフローを作っていく。また、出張費用に応じて承認フローを分岐させる設定を入れていく。
ここで琴絵さんが「Kintoneのプロセス管理の設定画面って、ぶっちゃけ使いにくいです」とぶっこんでいくと、参加者全員の同意の笑いが起きた。みんな思っていたことなんだと、Kintone Corporationのメンバーも苦笑いするしかない状況に・・・。
基本のアプリの形ができたので、次に、栄さんが申請された出張予定を「カレンダーPlus」を用いることで、見やすい形で情報共有できるようにしていく。作者なので当然なのだが、とてもスムーズに設定が進み、あっという間にきれいなカレンダーが表示されるようになった。
ただ、ここまでの開発で要望と問題が見つかる。要望は「申請中の出張と承認された出張はひと目で区別できるようにしたい」で、問題が「出張開始日と出張終了日を逆に入れられるとカレンダー表示で問題が起きる」だ。そこで金春がgusuku Customineを用いて、カスタマイズを実施した。説明しながら5分ほど設定するだけで要望と課題を解決した。
実は今回のライブ開発を実施することに決めたのは、前日だった。出張申請を作るということだけは決めていて、それ以外は細かな調整は何もできない状態で本番に挑んだが、そこはKintoneの強いエコシステム仲間ゆえ、非常にスムーズに進んだ。参加者は、かなり入念にストーリーを作り込んでいたと思われたらしく、あとからアドリブであることを話したときに、3人の阿吽の呼吸っぷりに驚いていた。
Kintoneはマンハッタンで摩天楼の輝きとなれるか?
まだ日系企業が多いという現実があるものの、Kintoneは確実に北米市場に浸透してきており、これからはローカル企業への浸透も期待できる状況にある。ここまでのKintone Corporationの活動で、この厳しい北米市場での戦い方も見えてきており、エコシステムを支えるパートナーとして、今度の北米市場には期待したいと思える会となった。
会の終了後は、個別にたくさんの質問も出てきた。会の中では質問が出ないところは、ニューヨークとはいえ、日本っぽい感じだ。とはいえ、ニューヨークのユーザーにとって、Kintoneエコシステムの主要メンバーに質問できる機会はあまりなく、みなさん積極的に質問されており、Kintoneで業務をよくしていきたいという熱が感じられた。
そして、ニューヨークの摩天楼の輝きに吸い込まれていく3人だった……。