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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第536回

7nmベースのRyzen APU「Renoir」を2020年に発表 AMD CPUロードマップ

2019年11月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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7nmベースで製造されるRyzen APU
Renoirが2020年発表

 さて、直近の話はこんなところであるが、この先出るものは? というと、7nmベースで製造されるRyzen APUである。ただしこれは2020年に入ってからとなるだろう。構成はZen2+NAVIという順当なもので、Renoir(ルノワール)なるコード名だけが伝わってきている。

 このRenoir、海外のサイトでは「2020年のCESでお披露目ではないか」とされているが、筆者はおそらくCESの段階で示されたとしても、それはプレビューレベルのもので、製品出荷はもっと後になると思われる。

 理由は先のTSMCの逼迫の話が一番大きい。そもそもまだPicassoベースの製品が出荷されたばかりだし、どうやっても平均小売価格を高く設定できない現状のRyzen APUの構成では、まだ割高な7nmを利用するよりも割安な12nmを利用する方が理にかなっている。

 おそらくRenoirが量産に入るのは、TSMCのN7+やSamsungの7LPPといった、EUVプロセスの量産が本格化し、相対的にN7の需要が減って、製造コストのプレミアが減る来年第2四半期以降ではないかと筆者は予想している。

 その頃には、Zen3ベースとなるN7+を利用した次のRyzenが用意できる頃であり、Ryzen 3000シリーズ同様タイミングを合わせて出荷、という方が自然な感じである。

 幸いにもというか不幸にもというか、Ryzen APUは今のところ有力な競合製品がない。現状、インテルのCore i3以下のグレードのCoffeeLakeベースの製品とは互角以上であり、次に出てくるComet Lakeまでに7nmに移行すれば十分間に合うからだ。

 もちろん、例えばモバイルのシェアを今の3倍にする、なんて目標を立てていれば、今すぐ7nmに移行しないと競争力が足りないが、そうでなければ慌てて移行する必要はないと考えられる。というわけで、APUの7nm移行はもう少し先になりそうだ。

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