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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第536回

7nmベースのRyzen APU「Renoir」を2020年に発表 AMD CPUロードマップ

2019年11月11日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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Ryzen 9 3950Xはゲーム向けに
第3世代Threadripperはワークステーション向けに

 さて、次が25日発売予定のRyzen 9 3950XとThreadripperである。Ryzen 9 3950Xは、やはり高速動作するダイの選別に時間がかかった模様だ。

 真偽は不明だが、あるタイミングでTSMCで製造するCPUチップレットの歩留まりが急に下がり、高速動作するダイがほとんど取れない時期が続いた、という噂があった。

 それはともかくとして、Threadripperである。概要は発表記事にまとめられているが、I/F周りを大幅に変更した。初代/第2世代のThreadripperは、PCI Express Gen3 x64構成だったが、第3世代ではPCI Express Gen4 x72になっている。 

 そのうえ、チップセットとのI/Fもx4レーンからx8レーンに強化されるなど、大幅に構造が変わったこともあり、X399に代わってTRX40チップセットが新たに提供され、これもあってSocketには互換性がないことになった。

 もっとも機械的に異なるかどうかは不明だが、おそらくガイドピンの位置を変えるなどして、装着できないようにする程度の配慮はあるかと思う。

X399に代わってTRX40チップセットが新たに提供される

 この第3世代Threadripperが4ダイ構成のみ、というのは要するに従来のゲーミング向けの2ダイThreadripperのラインナップはRyzen 9が後継となり、Threadripperそのものはワークステーション向けに特化するという形に切り替わったものと考えられる。

 実際Performance Previewのスライドを見ると、ブラウザーやUnreal Engineのコンパイル、Premire CCでの動画トランスコード、CGレンダリングなどばかりで、ゲームが出てこないあたりがこの傍証である。

ワークステーション向けのベンチマークばかりで、ゲームでのベンチがない

 Ryzen 9 3900XですらほとんどのゲームでCPU性能は余っている(24スレッドを使い切るようなゲームはまずない)ことを考えると、4ダイで48~64スレッドを投入したところでゲーム性能改善にはまずつながらない。

 またPCI Expressレーンを強化しているのは、GPUあるいはアクセラレーター(最近FPGAカードが手頃に出回るようになり、これを利用した処理のオフローディングも盛んになっている)を大量に接続したい、ということも関係しているだろう。

 現状TRX40の詳細を含めた細かい話は全然出ていないが、このあたりは発売までにいろいろ公開される(そしてハッチセンパイがそれをレポートしてくれる)と思われる。

 通常のユーザーにはRyzen 9シリーズで十分と思える。強いてデメリットを挙げれば、Ryzen 9ではSocket AM4なのでメモリースロットが4本しかないので、16GB DIMMを使っても最大でも64GBにしかならないあたりで、これを超える容量が欲しければThreadripperに……となるが、さすがに64GB以上が必要なユーザーは「通常」扱いから外れても仕方ないだろう。

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