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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第534回

プリンターが牽引したHPの家庭用PCビジネス 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2019年10月28日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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HPを長い間支えた
プリンタービジネス

 今回も業界に多大な影響を与えた現存メーカーのHP編だが、少しだけ時計の針を戻す。

 522回で紹介したプリンターのLaserJetは、1994年4月に累計1000万台をこえる出荷数を記録、間違いなく大ヒットになったわけだが、そのかたわらでThinkJetの後継として1988年に発表されたDeskJetとこれに続く製品は、LaserJetをはるかに上回る成功となった。

インクジェットプリンター「DeskJet」。古いユーザーの中にはこの筐体を覚えておられる方も多いかと思う

 インクジェット方式ながら300dpiというLaserJet並みの解像度で、しかも価格は995ドルとはるかに安かった。もちろんドットインパクト方式の競合製品に比べれば高価だったし、当時のインクはまだ濡れに弱く、簡単ににじむなどの欠点はあった。

 黒のインクカートリッジは19.95ドルで、これ1本でおおむね800ページ弱の印刷が可能とされた。プリンター本体に比してインクカートリッジが相対的に高価というのはインクジェット方式の根本的な問題であるが、そうした欠点を踏まえてもDeskJetの印刷品質は(LaserJetよりもやや劣るとは言え)高かった。

 しかも消費電力はLaserJetよりも低く、騒音はドットインパクト方式に比べて格段に少なかったため、特に法人用途で、しかしLaserJetを導入するにはややコスト的に厳しい、といったニーズに見事にマッチすることになった。

 翌年には若干高速化するとともに、搭載するフォントを増やし、かつ横印刷をサポートしたDeskJet Plusを同じ995ドルで投入するとともに、AppleのMacintosh向けにAppleTalkに対応したDeskWriter(プリンタ本体はDeskJet Plusと同じ)が1195ドルで投入された。

 1990年には、このDeskJet Plusの後継であるDeskJet 500が発表される(外観そのものは、DeskJet/DeskJet Plusと見分けがつかない)。

 価格は729ドルまで落ちており、その一方で新しく2つのフォントカートリッジ用スロットが追加されたほか、EPSONのFX-80およびIBMのProPrinterの互換モードが追加された。これにより、DeskJetに非対応のアプリケーションであっても、ESC/PあるいはIBM互換モードを利用して印刷が可能になった。

 このDeskJet 500は、1990年に世界で一番売れたプリンターとなった。連載522回の最後で「ベストセラーとなるDeskJetシリーズを1990年に発表」と書いたのは、このDeskJet 500のことである。

 DeskJetシリーズはバンクーバー支部が手掛けていたが、1984年当時の売上が1億2000万ドルほど。1988年に最初のDeskJetを投入して売上は2億ドル弱までのびていたが、DeskJet 500を投入した1990年の売上は3億5000万ドルに達している。

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