バーチャル7.1chサラウンド対応
低音調節スライダーも魅力の「Cloud Alpha S」
ゲーミングヘッドセット「Cloud Alpha S」は、従来モデル「Cloud Alpha」の後継機に位置づけられる製品だが、あらたにバーチャル7.1chサラウンド対応、イヤーカップ部分に低音調節スライダーを追加するなど、単なるバージョン違いにとどまらない進化を果たしているのが特徴だ。外観も一見すると似通っているものの、本体カラーはブランドイメージの強いブラック×レッドからブラック×ブルーに変更されている。
13~27000Hzの周波数特性、50mmのHyperXデュアルチャンバードライバーを採用するなど、「Cloud Alpha」を踏襲する点も多いが、インピーダンスは65Ω、出力音圧レベルは99dBSPL/mWと若干の変更が見られる(「Cloud Alpha」はインピーダンス60Ω、出力音圧レベル98dBSPL/mW)。とはいえ、デュアルチャンバー構造により低音と中高音を分離し、メリハリある音像を実現しているのは旧モデル譲りだ。
あらたに対応した7.1chバーチャルサラウンドは、付属のインライン型USBオーディオコントロールミキサーを装着することで利用可能になる。7.1サラウンド対応DACを内蔵することで、ソフトウェアなしでもバーチャルサラウンドを実現しているわけだ。
従来モデルのインラインリモコンでは音量調節とミュートのみ可能だったが、本製品はさらにゲームとチャットの音声バランスを調整する機能を備えており、サラウンド以外の機能面も向上が図られている。
また、イヤーカップに搭載された低音調節スライダーにより、3段階での低音調整が可能となった。スライドさせることで空気孔が2段階まで露出し、低音の強調度合いを調節できる。
空気孔を閉じた状態と2段階目まで開いた状態では、はっきり分かるほど低音のボリュームが変わってくるが、極端な調整にはならないため、どちらのモードで使っても問題はないだろう。このあたりは好みによるところが大きいので、実際に使用してみて、ゲームタイトルなどによってベストなポジションを探してみることをすすめたい。
実際にいくつかのタイトルをプレイしてみると、バーチャル7.1chサラウンドの恩恵で環境音や銃声などが非常にはっきりと聴き取れるのは大きなメリットだと感じた。
ただし、競技系タイトルで対象との距離感などを把握しようと思うと、オフにした場合のほうが分かりやすいという場合もあるため、あくまで選択肢のひとつとしてとらえておくのが良さそうだ。
臨場感については文句なく、手元からボタンひとつで手軽にオン/オフできるので、様々なタイトルでサラウンドを試してみるといいだろう。低音調節はタイトルによってはあまり気にならないものの、ある程度低音を強調しておくほうが臨場感が出る場合も多い。
装着感はしっかりしているが、イヤーパッドのクッション性が良好なため、きつさは感じなかった。通気性については判断しかねるが、数時間の使用でも不快感はなかったので、おおむね問題なさそうだ。なお、付属する通気性の高い布製イヤーパッドに付け替えれば、装着感はより軽快になる。長時間使用の場合、こちらが好みというユーザーもいるだろう。
そのほか、取り外し可能なエレクトレットコンデンサーマイクと専用ポーチが付属する。従来モデルの「Cloud Alpha」は現在1万3000円前後で、「Cloud Alpha S」は1万5000円前後だが、バーチャルサラウンドや低音スライダーといった好みの音を追求する選択肢が増えていることを考えれば、かなりお得と言えるのではないだろうか。
この秋のPCゲーミングのお供に!
「Alloy Origins」と「Cloud Alpha S」は、いずれもゲーミング向けとして注目に値する機能を備えた製品だ。どちらも独自性を打ち出しているものの、使い勝手にクセはなく汎用的に使っていけるため、PCゲーミングはもちろん、普段使い用のデバイスとして長く使うにも魅力的だろう。
秋から年末にかけては話題のゲームタイトルが増えてくるが、そのお供に検討してみてはいかがだろうか。