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スペースXのネット衛星、ESAの気象衛星とニアミス

2019年09月04日 07時38分更新

文● Charlotte Jee

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欧州宇宙機関(ESA)は9月1日、スペースX(SpaceX)のインターネット・コンステレーション(衛星群)である「スターリンク(Starlink)」の1基との衝突を回避するため、同機関の衛星を1基移動させねばならなかったとツイッターで発表した

ESAは、同機関の人工衛星と「メガコンステレーション」衛星との衝突を防ぐために「衝突回避操作」をせねばならなかったのは今回初めてであると述べている。 具体的には、アイオロス衛星がスペースXのスターリンク衛星の上部を通過できるように、同衛星のスラスターを噴射しなければならなかったという。

アイオロスは、気象予報の精度向上を目的として2018年8月に打ち上げられた科学衛星である。スターリンク衛星との衝突が予想された時刻の直後にはデータの送信を再開し、衝突を無事回避できたことを示した。 ESAは、現役の人工衛星をよけなければならないのは稀であると述べている。この種の操作は、デブリ(宇宙ゴミ)との衝突を回避する場合に実行されるのがほとんどだという。アイオロスの軌道は、スターリンク衛星群の現在の軌道の高さよりかなり低い。そのため、アイオロスが今回よけねばならなかったスペースXの衛星は、地上との通信が途絶えた後に同社が軌道を離脱させた3基の衛星のうちの1基である可能性がある。

ESAの今回の発表が、ブロードバンド・インターネット接続を提供するために1万2000基の衛星を打ち上げるとするスペースXの計画に対する当てつけであることは想像に難くない。テレサット(Telesat)、 ワンウェブ(OneWeb)、レオサット(LeoSat)などの他の企業も同様の計画を抱えている。 スペースXは、2019年5月に60基の衛星を打ち上げることで計画を実行に移し始めたところであり、今後数カ月以内に急速に数を増やしていく予定だ。

こうした計画に対して懸念を抱いているのは、ESAだけではない。宇宙ゴミの専門家の警告によれば、この種の人工衛星の「メガコンステレーション」は、インドの対衛星ミサイル実験というような目を引く行為よりもはるかに深刻でより長期的な問題を引き起こす可能性があるという。 現時点では、現役の人工衛星をよけなければならないことは極めて稀であるとESAは述べているが、近い将来、毎週数百の衝突警告が出されることも予想される。

今回の手動操作による衝突回避は、メガコンステレーションの時代にはまったく用をなさなくなるだろう。数が多すぎて管理し切れないからだ。 それを受けてESA は、人工知能システム(AI)を用いて衝突の可能性を評価し、人工衛星を移動させるプロセスの自動化を目下準備中である。ただし、 そのプロセスが実際に稼働するまでは人間による観察と回避操作に頼らざるを得ない。

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