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InfoSightのAIエンジン組み込み、新アーキテクチャ/新OS採用で“100%の可用性保証”

「HPE Primera」ストレージ国内発表、シンプルかつ高可用性を強調

2019年08月01日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2019年7月30日、新製品のインテリジェントプライマリストレージ「HPE Primera(プライメエラ)」を国内発表した。Hewlett Packard Enterpriseが6月に米国で開催した「HPE Discover Las Vegas 2019」で発表されたミッションクリティカルストレージで、「シンプルな運用性」に加えて「100%の可用性」を打ち出して注目を集めていた。今回の日本における会見でも「100%のデータ可用性保証を提供する」と述べている。

HPEのミッションクリティカルストレージ新製品「HPE Primera 670」本体
日本ヒューレット・パッカード ハイブリッドIT事業統括 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏同 ハイブリッドIT製品統括本部 製品部カテゴリーマネージャーの加藤茂樹氏

「ミッションクリティカルにもかかわらずシンプル」の実現目指した製品

 Primeraは、“Prime(最上位)”と“Primary Storage(プライマリストレージ)”、“Era(時代)”の言葉を組み合わせて命名された。HPEの既存ストレージ製品ラインである“Nimble Storageのシンプルな自己管理”や“3PAR StorageのDNAによる高い可用性とパフォーマンス”を受け継ぎ、さらに「グローバルなインテリジェンス」「オールアクティブアーキテクチャー」「サービス中心のOS」「タイムレスストレージ」という4つの特徴を持つという。

 「業界で初めてインテリジェンスを備えたプライマリストレージであり、“100%の可用性”を実現する。この『100% Availability Guarantee』が、これからの常識になるだろう。またスピードと信頼性、あるいは機敏性とシンプルさといった、これまでのトレードオフを解決する(それぞれを両立させる)ことができる。HPE Primeraによって、これまでの常識を壊し、ミッションクリティカルを再定義する」(HPE 加藤氏)

HPE Primeraにおける4つの特徴

 まず「グローバルなインテリジェンス」については、IT運用のためのAIプラットフォームである「HPE InfoSight」を活用する。InfoSightは顧客環境に導入されたPrimeraの稼働データ(テレメトリデータ)を常時収集、学習し、AIエンジンの適用でハードウェア障害やパフォーマンス劣化、リソース不足などの問題発生を事前に予知し、プロアクティブな対処を可能にする。HPEのテストでは、これによりストレージ管理に必要な時間を93%削減できたほか、Oracleデータベースにおけるアプリケーションパフォーマンスを122%向上させたという。

 なおPrimeraでは、InfoSightクラウドだけでなくハードウェアにもAIエンジン機能の一部を組み込んでいる。これにより、日本ではおよそ3割を占めるというクローズドなデータセンター環境においてもInfoSightの持つ能力を活用し、一定の可用性が担保されるという。

実環境で稼働するPrimeraからテレメトリデータを収集、InfoSightのAIエンジンが学習することで、プロアクティブな対処を可能にする

 続く「オールアクティブアーキテクチャー」では、マルチノードを用いた超並列アーキテクチャを採用し優れた復旧力を実現している。「コミュニケーションノードごとに専用ASICで処理する新たなハードウェアアーキテクチャーを採用。低レイテンシで安定した性能を提供することができるNVMe設計、高い復旧力を実現するインスタントフェールオーバーのほか、チューニング不要な環境を実現している」と説明した。

複数ノードがすべてアクティブノードとして稼働し、復旧力に優れたアーキテクチャとなっている。またNVMeベースの設計で低レイテンシを実現

 「サービス中心のOS」では、シンプルな管理を実現し、同時にリスクを排除する独自OS「Primera OS」を新規開発して採用している。従来のOSはカーネル空間で動作していたが、Primera OSはユーザー空間で動作するかたちとなったため、OSアップグレード時のノードリブート回数を削減できる。これによりダウンタイムを抑止しながらのバージョンアップが容易になり、サービス品質の向上が見込める。「OSを完全に作りかえたところに、100%の可用性を実現した理由がある」(加藤氏)。

 ミッションクリティカルストレージにもかかわらず、シンプルな管理を実現している点もアピールしている。たとえばラック設置からアプリケーション稼働開始までは20分程度で済み、プロビジョニングは数秒で完了、OSアップグレードもワンクリックすればおよそ5分で可能だという。なおアップグレードサイクルは、半年ごとに新機能を追加した新バージョンを提供する「Short Term Support」に加え、日本市場でニーズの高い、最長3年間の長期サポートを保証する「Long Term Support」も提供される。

 「タイムレスストレージ」では、ストレージ環境に対する投資を保護し、永続的に利用できる仕組みを提供する。たとえばシステム更改時においてフォークリフトアップグレードを不要とし、コントローラーのアップグレード(オプション、後日展開予定)も可能だ。そしてここでは「100% Availability Guarantee」が重要な柱になる。

 100% Availability Guaranteeは、HPE Primeraにおいて100%の可用性を保証するプログラムである。「Proactive Care」以上の有効な保守契約を所有しており、HPE InforSightに接続し稼働データを送信するという条件を満たせば、特別な契約を結ぶことなく、無償で利用できる。可用性100%に達さなかった場合には、HPE Primeraの追加購入やアップグレードで利用できるクレジットが提供される。

OSバージョンアップでもリブート不要にする「サービス中心のOS」、永続的に利用しやすくする「タイムレスストレージ」といった特徴もアピールしている
“100%の可用性”を保証する「100% Availability Guarantee」プログラムの内容

 さらに「HPE Persistence」とデータレプリケーションにより、事業継続をバックグラウンドで支えることができるほか、「HPE Recovery Manager Central」によるアプリケーション認識型のデータ保護機能も採用。「HPE Store Once」との組み合わせにより、リストア作業が15倍に高速化されること、「HPE Cloud Bank Storage」を介したパブリッククラウドストレージの活用によるコスト効率に優れた長期データ保持ができることなどもアピールした。

これからのストレージ市場は「インテリジェンス」がキーワードになる

 ハイブリッドIT製品統括本部 統括本部長の本田昌和氏は、HPE Primeraは「市場に対する新たなコミットメントをする製品」だと説明した。これまでのストレージ市場では、フラッシュの作用、管理の効率化、クラウド連携によるアジリティの実現、“as-a-Service”型のオンプレミス導入といったものがキーワードになってきたが、これからは「インテリジェンス」がキーワードになると語る。

 「IDC調査によると、トラブルの90%以上はストレージよりも上のレイヤー、具体的にはネットワークやサーバー、仮想化レイヤーなどで発生している。クロススタックの環境においては数百もの不確定要素があり、人間が解決するには問題が複雑化しすぎている。また効率的なデータ配備や大量データの活用といった点でも、複雑化していてもはや人間の力では限界がある。ここに(マシンによる)インテリジェンスが求められる背景がある。HPEでは、Global Intelligence Engineにインテリジェンス機能を集中させており、ここが他社に比べて進んでいる点だ」(本田氏)

ITスタックが複雑化したことで、すでに人による問題解決は難しくなっている。HPEではデータ収集とAIの適用によるインテリジェンスでそれを解決しようとしている

 本田氏はそう述べたうえで、HPE InfoSightによってストレージレイヤーを超えた監視を行い、ネットワーキング、アプリケーション、サーバーレイヤーでの問題発生も予測/防止できるほか、マルチノード設計によって、高度な可用性を提供するように設計されていることを強調した。

 今回の発表において、PrimeraはCPUやキャッシュ容量の異なる3モデルが用意されている。2ノード構成のPrimera 630は2039万1000円から、Primera 650は2966万1000円から、Primera 670は4591万5000円から。また4ノード構成にした場合のPrimera 650は5514万円から、Primera 670は8744万1000円から(いずれも税抜の最小構成価格、Proactive Careを含む)。2019年8月8日から販売を開始する。

 さらに従量課金型の調達モデルである「HPE GreenLakeフレックスキャパシティ」を利用することで、月間の平均使用容量に基づく支払いが可能となる。そのほか早期移行を支援するために、90日間の支払い据え置き期間と36カ月の残価設定リースを組み合わせたファイナンスプログラムも用意している。ちなみにHPEでは、2022年には「すべての製品を“as-a-Service”型で提供する」ことを宣言している。

 今回の国内発表をふまえ、HPEでは江東区の本社ソリューションセンターにPrimeraを設置し、検証環境を提供する。さらに9月以降、札幌、名古屋、大阪、福岡でロードショーを開催、10月には東京でも説明を行う場を用意するとしている。

 なおPrimeraはHPEストレージ製品ポートフォリオでハイエンド(ミッションクリティカル)に位置づけられる。既存の製品群(MSA、Nimble Storage、3PAR StoreServ、XP7)も引き続き販売する。

Primeraを加えたHPEのストレージアレイポートフォリオ

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