Zen2アーキテクチャーの詳細は8月に公開
その第3世代Ryzenであるが、基調講演では示されなかったRyzen 5も同日出荷開始予定となっている。各々のスペックであるが、下表に示す通りになっている。
| 第3世代Ryzenのスペック | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| モデル | コア数 | スレッド数 | ベースクロック | ブーストクロック | キャッシュ容量 | TDP | 価格 |
| Ryzen 9 3900X |
12 | 24 | 3.8GHz | 4.6GHz | 70MB | 105W | 499ドル |
| Ryzen 7 3800X |
8 | 16 | 3.9GHz | 4.5GHz | 36MB | 105W | 399ドル |
| Ryzen 7 3700X |
8 | 16 | 3.6GHz | 4.4GHz | 36MB | 65W | 329ドル |
| Ryzen 5 3600X |
6 | 12 | 3.8GHz | 4.4GHz | 35MB | 95W | 249ドル |
| Ryzen 5 3600 |
6 | 12 | 3.6GHz | 4.2GHz | 35MB | 65W | 199ドル |
こうなってくると、Ryzen 7 3800Xのポジションが非常に微妙である。というのは、定格でこそ最高速(3.9GHz)ながら、ブーストクロックは4.5GHzどまりになっているからで、むしろRyzen 9 3900Xの方が1bin高速という結果になっているためだ。
なぜRyzen 9 3900Xの方が高速か? というと、おそらく熱容量の関係であろう。連載496回でも推察したが、Ryzen 9ではCPU Chipletあたりでアクティブなコアが6つに減るから、相対的に熱容量に若干のゆとりができ、これが+1binの余裕につながっている。
おまけに3次キャッシュが32MB余分に加わるため、メモリー帯域不足にも陥りにくい。それがたったの100ドルアップで入手できる、となると普通に考えればRyzen 9 3900Xが超お買い得であり、Ryzen 7 3800Xは「お買い得ではあるけど(Ryzen 9 3900Xに比べれば)普通」に見えてしまう恐ろしさである。
AMD関係者も「この価格は予想してなかっただろ?」とニヤニヤ笑っていたあたり、相当マーケティング的には自信がある構成なのは間違いない。
ちなみに上でも少し触れたが、2ダイ構成の場合は「対象構成にする」のだそうで、例えば12コアを8コア+4コアや7コア+5コアなどにはしないという話であった。もっとも、10コアとか8コアとか14コアとか16コアとかの将来製品があるかどうかはノーコメントであったが。
連載496回で説明したCCXの構成であるが、Zen2でも4コアがCCXの最小単位になるという話であった。
したがって第3世代のRyzenのCPU Chipletは、2つのCCXから構成されるという構造が引き続き継承されることになる。性能的にどうなんだろう? という疑問はあるのだが、これはそのうちベンチマークを行なってみないとわからないところだ。
なおメモリーに関して言えば、「公式にサポートされるのは」DDR4-3200までだそうである。「非公式には?」は今回ノーコメントであった。
またTIM(Thermal Interface Material:ダイとヒートスプレッダの間に入る熱伝導物質)については、引き続きハンダが利用されるという話で、これは今回発表された製品(Ryzen 5/7/9)すべてでハンダを利用するとのこと。Ryzen 3あるいはAPUについては、TIM云々の前にそもそも製品の存在そのものについてノーコメントであった。
とにかく今回AMDは基調講演の後の説明会で豪華な面子をそろえつつ、「それはまだ言えない」の連発で、なんのための説明会だという気もしなくもなかった。
とくにRyzenの内部についてMacri氏にいろいろ突っ込んでみたものの、片端から「言えない」の山である。もっともAMDはこのZen2のアーキテクチャー、およびNAVI(というかRDNA)のアーキテクチャーについて、今年8月に開催されるHotChipsで詳細を明らかにするとしており、そこまでお楽しみは取っておきたいのかもしれないが。

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