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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第513回

COMPUTEXで判明した第3世代Ryzenにまつわる裏事情 AMD CPUロードマップ

2019年06月03日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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PCI Express Gen4は
発熱と価格に問題を抱える

 なお、このPCIe Gen4であるが、すでにGIGABYTEがこれに対応したNVMe SSDを発表している。ただ、正直言えば確かに性能は出るのだが、まだコストと発熱の面でこなれているとは言い難い。

 これはコントローラーとしてPhisonのPS5016-E16を搭載しているのだが、28nmプロセスを利用していることもあり、また4GB/秒以上の転送速度を実現するためにNAND Flashを8ch同時アクセスしていることもあって、発熱が結構大きい。

これはPhisonが今年1月のCESで公開した際の資料

 写真でもおわかりかと思うが、ヒートシンクがかなり大きいため、GIGIABYTEのマザーボードと組み合わせた時はともかく、他社のマザーボードとだといろいろ干渉する可能性がある。

GIGABYTEのPCIe Gen4対応NVMe SSD。ご覧のとおりヒートシンクがかなり大きい

 ちなみにPhisonは複数社にPS5016-E16を供給しているが、どこの製品も結構ヒートシンクが大きい。したがって、安定運用には冷却に相当気をつける必要がある。

 加えて、おそらくであるがX570搭載のマザーボードはX470のものに比べ、だいぶ価格がアップする。理由はPCIe Gen4そのものにある。

 PCIe Gen4では速度が倍増した関係で、マザーボード上で引き回せる配線の距離が半減しており、これを超えて配線する場合にはReTimerと呼ばれるバッファ(ブリッジというかリピータというか)を間に挟み込む必要がある。

 たとえばグラフィック向けのx16をマルチGPU用に2×8に振り分けるような構成になっている場合、見た目には非常に短いように見えて、実際は等長配線が必要になるのでけっこう配線の引き回しをやっており、この配線長の制限に引っかかる可能性がある。このため、16対の信号の全部にReTimerを挟み込む必要があり、これが高コストになる。

 おまけに、そこまでやってもGPUの性能にはあまり関係がない。基調講演では3DMark FeatureTest PCIe(これはβ版での機能で、まだ一般公開版には実装されていない)を利用してPCIeの帯域が倍近いことをアピールしたが、そもそもPCIeの帯域が関係してくるのはゲーム内ではスタート前のロードなどの時間(テクスチャーなどをメモリーからGPUに転送する処理)だけで、一度ゲームが始まるといちいち転送などかけてられない(かけたらそれがボトルネックになる)ため、あまり意味がない。

 現状はNVMe SSDないし、あるいはGPUをアクセラレーターとして利用するようなケースでのみメリットが見いだせる程度である。しかもPCIe Gen4対応のNVMeはまだ発熱も多いし、高価であろう。

 このあたりがこなれてくるのはおそらく2020年に入ってからで、そうなると現状PCIe Gen4をPC向けに導入するメリットはごくわずかでしかない。B550チップセットが出ない、あるいは、メインストリーム向けにPCIe Gen4のソリューションがない理由はまさにこれである。

 そのあたりを勘案してX570を購入するか、B450/X470ベースのマザーボードにBIOS更新をかけて待つか、と判断するのが妥当であろう。おそらくX470/B450でも性能面での遜色はほぼないと判断できる。

NAVIのダイサンプルを撮影
詳細は6月10日のイベントで発表

 最後に1つおまけ。下の画像がNAVIのダイサンプルである。こちらはGDDR6を利用するとリリースで明言されており、今年6月10日に行なわれるNext Horizon Gamingというイベントで詳細が発表される予定である。

NAVIのダイサンプル。パッケージ寸法は43.4×43.4mm、ダイサイズは14.6×18.1mmで264.3平方mmと推定される

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