次世代映像符号化形式のVVCは
ブロックノイズが少ない8K映像を実現
同時に披露されていたのが、次世代映像符号化方式「VVC(Versatile Video Coding)」の標準化に向けた研究だ。VVCは現在4K放送で用いられているHEVCコーデックの次世代の映像コーデックに当たるもので、HEVCと比較すると30~50%の符号化効率を改善。2020年7月の標準化を目指している。
実際に8K映像デモを見ると、28.4Mbpsで配信されているHEVC映像ではブロックノイズの発生する非常に難易度の高いシーンに対して、VVC映像では破綻を生じさせずディテール感を確保できていることが目で見てわかる。
VVCによる圧縮効率高効率化の仕組みは、基本的にはHEVCまで採用されてきた動画圧縮方式をさらに高精度化したものだ。映像圧縮時の画面全体をブロック分割するパターンを、長方形型ブロック含むパターンを利用可能とするとともに最大128×128画素に拡大。
動きのイントラ予想モードは従来の35方向から65方向予測に、輝度信号の複合画像から色差信号を予測し、またそれぞれ離接複合画素から線形予測。さらに、イントラ予測で復号ブロックから離れた参照画素を利用可能など、さまざまな予測補完の手法を取り入れることで精度を引き上げるものだ。現在の平均改善率は33.1%に対してエンコード処理は約9.7倍の負荷増、デコード処理は約1.7倍の負荷増となる。
VVCコーデックの研究はあくまで国際的な標準規格化への参加であり、地デジの8K化と直接繋がるものではないが、地デジ8K化が進む際には放送方式の選択肢となるだろう。