水辺のあちこちで「水都大阪プロジェクト」
少し触れた「水都大阪」とはいったいなんなのでしょうか?
北浜テラスから、中之島を隔てて対岸側にある、ほたるまち港(福島港)には、現在「水都大阪情報発信ベンダー」(自動販売機)が設置されています。単なるラッピング自販機というだけではなく、金銭を投入すると「大阪は水の都と呼ばれています。皆さん知っていましたか?」と音声が流れます。
地元である大阪中之島に本社を置くダイドードリンコのおしゃべり機能を活用した自販機。商品購入時にはランダムで「大阪の水辺をもっといきいきとした場所に!」といった音声が流れます。音声は、大阪アニメーションスクール専門学校の声優を目指す学生が担当。デザインは、大阪市内の小学生が「水の都大阪」をテーマに描いた14作品を採用したとのこと。
こちらの自販機も、「水都大阪」プロジェクトの一環として地元の企業が協力で設置されたもの。なぜ、「水都」のアピールをしているのでしょう?
かつて「水都」として発展した
大坂を取り戻すために
大阪は、水運により経済と文化が発展した街。明治期ごろまで「水の都」と呼ばれていました。江戸時代には「天下の台所」と呼ばれ物流や商業の中心地として栄えた背景にも、水運が大きな役割を果たしています。
都心をグルリと川で囲んだ「水の回廊」がある地形は、実は世界的にもめずらしいのです。大阪は、北に中之島エリア、南に道頓堀川、東西に東横堀川、木津川と、中心部を四方で囲むように川が流れています。
残念なことに、近代以降、川沿いの景観の美しさは損なわれつつありました。大都市への発展に伴い、工場や住宅が増え、産業排水や家庭の生活排水が河川に流入して、汚濁が進んでしまったという経緯があるそう。
大阪では、2004年頃から、水質改善や、水辺の環境の整備をはじめとした、水辺活性化の取り組みがスタートしました。クルージング船を設けたり、水辺エリアでイベントを開催したり、人を呼びこむのも活動の一環。北浜テラスの盛況も、水辺活性化の取り組みが実を結んだものです。
水都大阪プロジェクトは現在、市民、行政、企業が参加して共同で推進されています。もともと、大阪の水辺に活気を取り戻したい、という想いを多くの方がもっていたからこそ、官民協働の取り組みに結びついたと考えます。
地元の人の熱意で、美しい景観を取り戻し、観光スポットとしても注目されつつある大阪の水辺エリアは、古代、難波津の時代から今につながっている。そんな想像をすると沁みてくるものがありませんか?