日本マイクロソフトが「Azure Stack HCI」の戦略を説明
「Googleのハイブリッドクラウドはコンテナだけ。MSは全方位で提供する」――Azureの浅野氏
2019年04月22日 14時30分更新
日本マイクロソフトは2019年4月19日、マイクロソフトのハイブリッドクラウド戦略に関するプレスセミナーを開催。3月に発表したハイパーコンバージドインフラストラクチャ―(HCI)製品「Azure Stack HCI」とMicrosoft Azureで構成するハイブリッドクラウドについて説明した。
Azure Stack HCIは、これまでWSSD(Windows Server Software Defined)ソリューションの名称で提供していたHCI製品をリブランドしたもの。Windows Server 2019 Datacenterエディション、Windows Admin Center、WSSDプログラムで認定されたx86サーバーで構成される。
「従来のWSSDはPower Shellのコンソールからの操作にのみ対応していたが、Azure Stack HCIではWindows Admin Centerから管理できるようになった」(日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズ本部 プロダクトマネージャーの佐藤壮一氏)。Microsoft Azureとのハイブリッドクラウド運用を前提としており、Windows Admin CenterからAzureの運用管理系サービスやセキュリティサービスに接続して、Azure Update Managerを利用したWindows Serverの更新管理や、Azure Backupを利用したAzureへのデータバックアップ、VMの災害対策(Azure Site Recoveryを利用)を行うことができる。
Azure StackとAzure Stack HCIで全方位のハイブリッドクラウドを提供
Azure Stackファミリーには、今回発表したAzure Stack HCIのほかに、Azureのワークロードをオンプレミスで動作可能にするアプライアンス製品Azure Stackがある。Azure Stack HCIとAzure Stackは共通のコンピューティング、ストレージ、ネットワークテクノロジーを搭載しており、佐藤氏によれば、「Azure StackのAzure部分の下で動いているHCI部分を切り出したものがAzure Stack HCI」だという。
Azure Stack HCIとAzure Stackは、どちらもAzureとのハイブリッドクラウド構成で使う製品だが、Azure Stackはモダンアプリケーションなどクラウドのワークロードを実行するもの、Azure Stack HCIは従来のレガシーアプリケーションを実行するものだ。
ハイブリッドクラウド向けに2製品を揃えた背景について、日本マイクロソフト業務執行役員 クラウド&エンタープライズ本部 本部長の浅野智氏は、「オンプレミスにある環境はすべてクラウドにもあるべきだというのがマイクロソフトのハイブリッドクラウドの考え方。AWSのハイブリッドクラウドはIaaSだけ、GCPはコンテナだけだが、マイクロソフトはVM、PaaS、サーバーレス、コンテナ、データベースなどすべてでハイブリッドクラウド環境を提供する」と説明した。
Azure Stack HCIはすでに日本でも利用可能
Azure Stack HCIの利用には、現状では、ソフトウェアライセンス(Windows Server 2019 DatacenterエディションとWindows Admin Center)とWSSD認定ハードウェアを別々に購入し、連携するAzureサービスの利用料金は別途支払う必要がある。佐藤氏によれば、「将来的に、従量課金制で利用できるプランを用意することも検討している」という。
すでに日本市場で、日立、Dell EMC、HPEがAzure Stack HCIに対応したWSSD認定ハードウェアをリリース済み。Lenovo、NEC、富士通からも順次リリースされる予定になっている。