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“非IT人材”のキャリアチェンジ促進も視野に、国内認定エンジニアを「3年以内に1万名へ」

セールスフォースがSIパートナー獲得施策、人材採用/育成も支援

2019年04月17日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 セールスフォース・ドットコムは2019年4月16日、Salesforceの新規SI(システムインテグレーション)パートナー獲得を目的とした新たなパートナープログラム「DXアクセラレーション」の国内展開を開始した。「Salesforce認定エンジニアの不足」などの課題に対応するため、SIパートナーにおける人材採用/育成活動をサポートする複数の支援策を提示している。

SIベンダーがSalesforceパートナーとして参入するうえでは「認定エンジニア不足」「人材育成にかかるコストと時間」「継続的な案件獲得の保証がない」といった課題が。今回のパートナー施策はこうした課題の解消を目的としている
セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 アライアンス本部 本部長の井上靖英氏同 執行役員 アライアンス本部 ストラテジックアライアンス第三営業部 部長の大岡剛氏

DXの進展で開発プロジェクトが大型化、認定エンジニアが不足

 DXアクセラレーションプログラムの最終目標は、顧客企業における「第4次産業革命」やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の流れに対応するために、Salesforceエンジニアを国内市場で増やすことにある。その背景には、市場ではDX推進のためにSalesforceを採用する開発プロジェクトが増えているが、その増加ペースに認定エンジニアの育成が追いついておらず、エンジニアの絶対数が不足している現状があるという。

 同社 アライアンス本部 本部長の井上靖英氏は、現在あらゆる業界/規模の企業がDXの推進に取り組んでいるが、DXの本質とは「デジタルを通じた顧客との関係の再定義」であり、必要とされるIT人材は「顧客接点を改善できる」人材だと説明する。Salesforceはまさにその顧客接点を管理する製品群を提供してきたベンダーだが、「最近ではSFA、コールセンターなど“単品”のソリューションではなく、顧客接点全体を(統合的に)改善する提案」を求める顧客企業が増えており、プロジェクトが大型化していると井上氏は語る。これもエンジニア不足の要因となっている。

 今回のプログラムでは、SIベンダーがSalesforceパートナーに参入する際の障壁となる「認定エンジニアの不足」「人材育成にかかるコストと時間」「継続的な案件獲得の保証がない」という3つの課題を解決することで、Salesforce認定エンジニアの拡大と新規SIパートナーの獲得を目指すもの。SIベンダーの規模を問わず展開していく方針で、具体的な目標としては、現在およそ3700名の国内認定エンジニアを「3年以内に1万名まで増やす」こととしている。

キャリアチェンジ後押し、人材育成コストの低減、パートナー間マッチング

 具体的な施策の内容については、同社 執行役員 アライアンス本部 ストラテジックアライアンス第三営業部 部長の大岡剛氏が説明した。

「DXアクセラレーション」プログラムの具体的な施策

 まず認定エンジニア不足については、IT関連人材の「キャリアチェンジ」を積極的に促していく。具体的には、既存SIパートナーでキャリアチェンジしたSalesforce認定エンジニアをロールモデルとして積極的に紹介していくほか、SIパートナーの採用イベントなどにSalesforceからエバンジェリストが登壇するなどして、パートナーにおける新規人材採用を後押しする。

SIパートナー企業の採用活動を支援。特に他のIT職種からのキャリアチェンジを促す

 また“非IT人材”のキャリアチェンジ促進も視野に入れている。たとえば人材派遣会社の登録者、かつてSIベンダーで働いていたが結婚・出産などを機に退職した女性などを対象に、無償オンライントレーニング「Trailhead」のコンテンツを提供することで、学習パスに沿ったスキル習得と資格取得支援を行う。大岡氏は、すでに人材派遣会社パソナテキーラとの協業を通じて、パソナテキーラの採用やSalesforce管理者派遣ビジネスの支援を行っていると説明した。

 また大学生に対しても、大学の就職支援センターなどとの共同で、まったくのゼロスキルからエントリー資格(認定アドミニストレータ)取得までの道のりを誘導するような各種ワークショップを提供する。認定資格を持つ学生を、SIパートナーのインターンシッププログラムに紹介するような取り組みも検討しているという。

“非IT人材”である働く女性のキャリアチェンジ、学生の人材誘致なども行う

 2つめの「人材育成にかかるコストと時間」という課題については、コストを抑えた人材育成の仕組みを提供する。具体的には、エントリー資格の認定アドミニストレータ取得を目標としたTrailheadのラーニングパス(学習すべきコンテンツ集)を提供するほか、通常は7万5000円かかる認定模擬試験(ポイントスタディウェビナー)も無償で受験可能にする。これにより「質を落とさずエンジニアを増やす」(大岡氏)狙い。

 また新規SIパートナーの社内人材転換/育成を支援するため、Salesforceや既存パートナーが持つ多彩なノウハウを「Learning Journey Workshop」として学習コンテンツにまとめ、新規参入パートナーに提供する。

資格取得にかかるコストを抑え、まずはエントリーレベル資格保持者を増やすことで、上級資格取得への道筋もできるとした

 最後の課題が、新規SIパートナーが参入しても「継続的な案件獲得の保証がない」というもの。これについては、Salesforceが既存パートナーと新規パートナーとの「マッチング」を行う制度を制定して、パートナー2社が組んでプロジェクトを受注する仕組みを推進していくという。既存パートナー側は人的リソースを確保することができ、新規パートナーにとっては実践的なエンジニア育成やノウハウ習得が可能になる仕組みだ。

 井上氏によると、このパートナーマッチング制度は既存の大手SIパートナーからも期待する声が挙がっているという。繰り返しとなるが、市場におけるSalesforceプロジェクト数が既存のエンジニア数を上回っているためだ。また大岡氏は、新規SIパートナーはこの制度を通じて参入し、将来的には特定の業種/技術を強みとしてSalesforceビジネスを展開できるだろうと語った。

既存SIパートナーと新規SIパートナーが共同でプロジェクト受注する「パートナーマッチング制度」。この制度により、新規パートナーの実践的育成と既存パートナーにおけるエンジニア不足の課題を解消する狙い

 さらにセールスフォース側からは、新規パートナーに対して顧客定着化(Customer Success)の方法をレクチャーするほか、顧客満足度調査の結果をすべて共有することで、顧客との長期的なビジネス関係構築を促していく。

 なお、今回のDXアクセラレーションは日本市場独自のプログラムだが、他国の市場においても同様に「Salesforce技術者の育成が急務となっている」と井上氏は説明した。また今回のようなかたちで、SIパートナーにおける人材採用/育成を包括的にサポートする踏み込んだ施策は初めてだという。

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