プロの大会と変わらない舞台で、高校生の頂点が決定
様々な“本気”が交わった全国高校eスポーツ選手権で、シーンのすそ野は確実に広がった
2019年03月28日 07時00分更新
プロと同じくらいの熱気だが、高校生ならではの部分も魅力的だった
私が取材したのは、24日の「League of Legends」(以下、LoL)部門の決勝戦。当日出場したのは、93チームの中から勝ち上がってきた岡山共生eスポーツ部、N髙 心斎橋KDG N1、学芸大附属国際ISS GAMING、横浜市立南The Grateful Feedの4チーム。今まで何度かLoLのプロのオフラインでの戦いを生で見たことがあるが、それに引けを取らない熱い戦いが繰り広げられていた。
また、プロと違う部分もあり、そこに面白さがあった。プロと高校生の試合で大きく異なるのは、肝が据わっているかどうか。本大会は第1回目。高校生にとって、このような舞台でゲームをするというのは、ほぼ初めての経験ではないだろうか。やはり緊張して普段通りの実力が出せなかったと試合後の囲み取材で語る選手もいたように、舞台にのまれるということが起こったのだ。
もちろんプロにも緊張はあるだろう。しかし、仕事として多くのファンや大きな会場でプレーする機会も多く、どんどん肝が据わっていく。会場の雰囲気や観戦者の人数関係なくいつものようにプレーできるというのが、プロたるゆえんなのではないかと思う。
また、プロは自身が引退するまで大会には出続けられる。しかし、全国高校eスポーツ選手権は高校生の大会。3年生は自動的に最後の大会出場となってしまうのだ。在学中に3年生と一緒に出場できてよかった。その分、悔しい。惜しくも優勝できなかったチームからはこういった声が多かった。そういったプロにはない高校生の大会ならではのプレッシャーが本大会には存在し、それがまたドラマとなる。
第1回 全国高校eスポーツ選手権は、学芸大附属国際ISS GAMINGが見事優勝した。どのチームの実力も拮抗していたと、本大会の実況を担当したLillebelt氏とkatsudion氏が語ったように、どのチームも強かった。ISS GAMINGが優勝したのは、決勝で1戦目をとられてもあわてなかったこと、チームでの連携を徹底したからだと感じた。そういったゲームの実力以外の部分で明確に差が現れてしまうのは、高校生ならではの見どころだと思う。甲子園には魔物が棲むといわれるが、幕張の舞台にも魔物はいたようだった。
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