バルセロナのゆとりのあるエコシステム
JETROの欧州イノベーション・ミートアップでは渡欧前のワークショップや、4YFN前日にはバルセロナのインキュベーション施設にて、ピッチのメンタリングも行なわれた。晴天に恵まれた今回の日程、初日はバルセロナの起業家や市民のためのクリエイティブ施設「Canodrom」にて、ピッチの予行練習が実施された。
もともとはドッグレースの施設をリニューアルした施設で、アイデアをサービス、製品に変えるため、インキュベーション、トレーニング、ワークショップなどが受けられるシェアオフィスとなっている。この日は休日だったので残念ながら人も少なかったが、ドッグレースのスタンドでランチもできた。
また同じく前日には国外の大規模展示会でおなじみの「ShowStopper @ MWC 2019」にもジャパンパ・ビリオンを設置。MWC、4YFNとは違った密度の高い空間で製品、サービスをアピールしていた。
カメラをつくっているメーカーのインフィニテグラは、温度が計測できるウェアラブルカメラを展示。ネットワークをつうじて、スマホやPCにつないでストリーミングでリアルタイムモニタリングが可能。作業現場などで作業支援をするシステムを販売している。同社の最大の特徴はサーバーの負荷を減らす技術でランニングコストの低くし、導入をしやすくしているところ。欧州での顧客もつかんだと、成果をさっそく得ていたと話す。
テレワーカー、リモートワーカーのためのコミュニティ―ションツールを展開するPISCES(ピスケス)。HoloLensなどのARグラスと3Dカメラを使うことで、3Dデータをリアルタイム表示し、ビデオ通話の3D版のようなヴァーチャルコミュニケーションシステムを開発。ビデオ通話に比べて、よりそこにいる感覚が得られるのが特徴だ。MWCにてマイクロソフトが「HoloLens 2」を発表したこともあり、展示の注目も集めていた。
4YFN会期終了の翌日、行程の最終日にはバルセロナ市内のコワーキング、シェアオフィスの「Barcelona Tech City Pier01」を訪問。100社以上のベンチャー、スタートアップ企業が在籍し、1000人規模が働いている施設だ。
スタートアップ、イノベーションを生み出す各国のエコシステム競争はより激しさを増している。パリ、ベルリン、ブレグジットに揺れてはいるがロンドンなど欧州の主要都市ではそれぞれ、同じ欧州の経済圏の中でもそれぞれ独自のスタートアップエコシステムが築かれている。エコシステムにならえとされるアメリカのシリコンバレー、急速に発展している中国、さらにはアジア、アフリカの新興市場に比べて、経済の在り方や国の形成、課題感などはより近しいのが欧州だ。技術だけではない、環境も含めたシステムをケーススタディーとしたいと感じていた。
Pier01はなんといってもロケーションが抜群の施設。港の赤レンガ倉庫をリニューアルしていて、目の前には港が広がる。施設内にはカフェやレストラン、ミュージアムが並ぶ。こんな場所で働けたらと思ってしまう場所だ。今回、4YFNに出展した企業の中でも、欧州に進出するなら、ぜひここにオフィスを構えてみたいという意見も出ていた。この日は見られなかったが屋上からの景色も抜群という。
2019年度も日本のスタートアップの海外進出をサポートするプログラムを実施
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