1 2
AIと人が織りなすコンセプチュアルな出展も
会場ではこのほか、各種特別展示も実施されていた。ここではそのいくつかをピックアップしたい。
「コンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新たな自然環境」として捉えられる世界像である、メディアアーティストである落合陽一氏が提唱する概念、「計算機自然(Digital Nature)」をあらわしたインスタレーション。
歌舞伎町が水没して、そこにサバが住み着いて何世代も進化したらどうなるか……。そのような勝手なシミュレーションを人間が考えるようなものを超えて、自律的な機械が行なう。空中からの捕食者に対する擬態とも推測されているサバの背中の模様に注目。数千年にわたって育てられた進化する風景画だという。
日本全国に2万社以上存在する中小の印刷会社が、Twitter上のつぶやきをお題に、印刷廃材とアイデアを使って、プロダクトでこたえていく「大喜利印刷」は、印刷物の再構築を行なうコンセプト作品群を実施。見て楽しいパラパラまんがマシンや紙ナプキンメモ帳、古本の香りの香水などが並べられていた。
機械が知的であるかどうか判定するチューリングテストを俳句で行なうSapporo AI Lab。俳句を通して、人とAIのインタラクションを探っている。
実際に作成された俳句は、一見するとすでに人がつくったのかどうか、区別がつかないレベルまで来ているが、川村教授によれば、それはあくまでありそうな言葉をつなげているだけだという。そのような前提で、機械における知能や知性は、どのような形で実現できるのかを研究している。培った技術は、コピーライティングや文章生成にも活用できるという。
今回のSXSWでの日本館創設は、The New Japan Islandsプロジェクトの第1弾。今後の展開も計画中とのことで、さらなる動きに期待したい。
1 2