セミナー・イベント情報@プログラミング+ 第25回
「量子コンピュータで学ぶ量子プログラミング入門」(3月23日)ハンズオンのお誘い
誰でも、実際に量子コンピュータを使うことのできる時代が始まろうとしています
2019年03月08日 20時13分更新
量子コンピュータは、学ぶことで準備する時間的余裕がある
丸山は、これまで「紙と鉛筆で学ぶ量子コンピュータ入門」という演習形式のセミナーを、繰り返し開催してきました。この「紙と鉛筆で学ぶ」というコンセプトは、量子コンピュータの動作は、基本的には、「紙と鉛筆」で「計算」することで理解できるというものでした。
今回のハンズオンは、それとは少し趣旨が違います。「紙と鉛筆」で「計算」するのではなく、量子コンピュータで計算させる為に必要な「量子プログラミング」の基礎を学ぶことが獲得目標です。
今年に入って、IBMさんが量子コンピュータの商用サービスを開始したことをご存知の方は多いと思います。同時に、IBMさんが、無償で実際の量子コンピュータにアクセスできるサービスを始めていることは、画期的だと思います。今回のハンズオンは、この「実際の量子コンピュータ」に触れることのできるサービスの開始に触発された企画です。
これからはもう、誰でも、ネット越しに無料で量子コンピュータを動かしてみることができる時代がはじまっていくんですね。思っていたより、だいぶ早いです。僕一人で動かした限りでは、量子コンピュータ、ちゃんと動きました。ちょっと感動しました。
ハンズオンでは、実際の量子コンピュータにもアクセスしようと思っているんですが、本当に何十人もの人が同時に使えるだろうかと、ちょっとハラハラしています。なんか遠い昔のことを思い出しました。
昔々、僕は、大学の「大型計算機センター」というところで、プログラム指導員というアルバイトをしていました。「大型計算機センター」というのは、今では死語だと思うのですが、当時は、コンピュータはそこにしかなくて、そのコンピュータに一日何百人もの人が群がって計算していたのです。量子コンピュータも、今は、同じような状態にあるんだなと思いました。
その「大型計算機」は、当時は「世界最大級」という触れ込みでしたが、そのメモリーは、実は8MBしかなかったんです。8GBではありません。今のスマホよりずっと少ないメモリーのマシンに、何百人もの人が群がって計算していたのです。
ハードウェアに関して言えば、古いものは新しいものに、逆立ちしてもかなわないのです。これから加速するだろう、量子コンピュータのハードウェアの未来についても同じ期待が持てるのだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=KXgwgOFUyPM&t=6s
ソフトウェアについては、どうでしょうか? 当時僕は、LISPでプログラムを作っていました。ある時のシステム更新で、LISPのヒープ領域が、128KBから1024KBに拡張された時、僕は喜びました。一瞬、なんでもできるのではと思いました。でも、そんなことは全然ありませんでした。
メモリーの単位間違ってませんかと、若い人は思うでしょうが、重要なことは、現在のコンピュータでは、どんなにメモリーがあったとしても、どんなにマシンが早くなったとしても、「実際には」計算できない問題はたくさんあるということです。(それは、「計算複雑性」という理論を学べばわかります。)
僕は、量子コンピュータが、そうした壁の「一つ」を乗り越えることに期待しています。(そうした可能性については、「量子計算複雑性」という理論が必要なのですが。)
昔話ばかりしていてもしょうがありません。未来の話をしましょう。今の若い人が、ジイさんになった頃、「16qubitですか! 僕が使っている16Gqubitじゃないんですね!」と言われる日がきっと来るだろうとおもいます。
初めて、皆に対して公開された量子コンピュータ、この歴史的な機会に、量子コンピュータに自分の手で触ってみませんか?
セミナー概要、筆者プロフィール(敬称略)
- タイトル:量子コンピュータで学ぶ量子プログラミング入門
- 日時:2019年3月23日(土)13:00 - 19:00(12:30 受付開始)
- 会場:五番町グランドビル7階/KADOKAWAセミナールーム(東京都千代田区五番町3-1)
- 講師:丸山不二夫、三橋朗(日本アイ・ビー・エム テクノロジー&IP事業開発 IPビジネス&アライアンス部長)
- 参加費:一般:20,000円(税込)、学生:10,000円(税込)
- 主催:株式会社角川アスキー総合研究所
- 詳細情報・ご応募:Peatixページをご覧ください
丸山 不二夫
東京大学教育学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。稚内北星学園大学学長、早稲田大学大学院情報生産システム研究科客員教授等を歴任。オープンソースのコミュニティ活動に積極的に参加。日本Javaユーザー会名誉会長。日本Androidの会名誉会長。クラウド研究会代表。近年では、日本のIT業界がグローバルな技術イノベーションの一翼を担うことを目標に、連続講演会「マルレク」を主宰し、クラウドコンピューティングや人工知能などの技術について講演を行っている。
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