●勝負にこだわったら負け
cisさんのすごさの1つは、一つひとつの勝負に入れ込むことなくトータルの利益を優先できるところにあります。コンピューターのように冷静な判断ですが、その感覚はパチスロや麻雀やポーカーなどギャンブルやゲームを通じて培われたところもあるのではないかとcisさんは振り返ります。
「今となっては投資は守備寄りですが、麻雀やポーカーではリスクに対してニュートラル。期待値の最大化をつねに模索しています。不完全情報ゲームで確率に身をゆだねたものをやりすぎていたので、ブレに対して精神的に鈍感になっているところがあるかなと。勝っても勝っても高揚しない、負けても負けても高揚(落胆)しない。それは投資の世界では強いのかもしれないです」
この話は『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』でも書かれています。子どものころcisさんはファミコンやカードゲームなども好きでしたが、ゲームは勝つことではなく「勝てる確率が高い勝負をすること」を重視していたそうです。そのため勝率7割のゲームで負けたとしても悔しさはほとんどなかったそうです。これがいわゆる天性かと感じるところがありました。
ちなみにcisさんはPCやスマホのゲームなども好き。相場に必要な「いろんなことを瞬時に判断できる力」と「目を疲れさせずに画面を見る力」がきたえられたそうです。ちょっと笑ってしまいましたが、相場はすばやい処理と応答が求められるスポーツのようなものだと考えるととても大事なフィジカル要素なのかもしれないと感じました。
「目が疲れると頭が痛くなって思考力も落ちるし、健康にもよくない。疲れずに見る力というのは現代においてある程度重要だと思います。格ゲーのウメハラくんと話したときも『今は疲れないです』と言っていましたね」
最後に、もう1つcisさんがすごいところは、230億円という大金を稼いでも淡々としていて謙虚なところです。「いくら勝っても高揚しない」という性格から来るものかもしれませんが、これが最大の強みかもしれません。

