新たなイノベーションを生み出す共創の場「NEC Future Creation Hub/Lab」、その狙いをキーマンに聞く
欲しいのは顧客の「共感」、NECが新たな共創空間にかける熱い想い
2019年03月07日 08時00分更新
キーワードは「共感」、共に課題に取り組むパートナーとなるために
――「共感」というキーワードが何度か出てきましたが、なぜ顧客との間で共感を生むことが大切なのでしょうか。
野口:NECでは以前からお客様との「共創」に取り組んできており、NEC Future Creation Hubも「共創の場」だと説明しています。ただ、人と人が何か大きなことを一緒にやっていくためには、まずはお互いの信頼関係が必須ですよね。「何ができるのか」も重要ですが、それよりも先に「共創のパートナーたりうる相手かどうか」が問われるわけです。裏を返せば、信頼関係さえ結ばれていれば共創は当たり前に進むのです。
それでは何に共感するのか。お客様の「ビジョン」と「バリュー」です。企業どうしの取引とはいえ、根底は人と人との関係です。恋愛と似たようなものですが(笑)、自分のビジョンや価値を深く理解してくれる相手がいれば、相手のこともよく知りたいと思うじゃないですか。逆に深い信頼関係がなければ、いくらアプローチしても相手の心を動かすことはできません。
ある不動産会社のお客様がお越しになったときのことです。事前に調べてみると、その会社では「土地の価値向上」ではなく「その土地に集まる人に活力を与える」というビジョンを掲げていました。業界内でそんなビジョンを掲げている企業はほかにはありません。そこで「そのビジョンに強く共感を覚えました」と素直にお伝えしたところ、お客様はとても喜んでくださいました。
そして、ソリューションのご説明などしなかったにもかかわらず、後日、街づくりの案件でSDNソリューションをご採用いただけました。つまり「このビジネスはNECと一緒にやりたい」と共感いただけたということですよね。
杉本:5年後、10年後を見据えた中長期のお付き合いをしていくうえでは、やはりそうした関係づくりが大切です。特に、いまのNECはIT部門の方だけでなく、事業部門や経営層の方も巻き込んだビジネスモデルを展開しようとしていますから、対等のビジネスパートナーとして共創に取り組むフェーズが絶対に必要だと考えています。
顧客案件にベストな人材をアサインする“ハブ”として機能させたい
――組織面についても教えてください。記者発表会では1600人の専門部隊が顧客のデジタルトランスフォーメーションを支えると説明されていました。
野口:NECではお客様との共創に際して、さまざまな専門人材をアサインできる体制を整えています。「バリュークリエイター」や「エバンジェリスト」「データサイエンティスト」など、それぞれの専門性を生かしてお客様のビジネスを支援しています。
その一方で、これだけでは足りない要素もあります。たとえば製品やソリューション、最新テクノロジーについての深い情報やノウハウは、各事業部や研究所にあるわけです。そこで、NEC Future Creation HubがまさにNEC全体の“ハブ”として機能し、フォーカスすべき個々の案件に対して各部門の人材をアサインできるようにしていきます。組織の枠を越えた「トップアプローチチーム」を編成するわけですね。
――全社のハブとして機能することを考えると、今回は2つの施設を本社地区に移した意義は大きいでしょうね。
野口:そうですね。また、品川や秋葉原よりも社員が足を運びやすいですから、積極的に使ってもらいたいと考えています。今回はオープンから2日間、社員向けの内覧会を2施設で開催しましたが、3800人以上の社員が参加しました。
これから大事なのが、わたしたちが取り組んできたようなトップアプローチを、個々の営業担当でも自立してできるようにしていくことです。特に、若い世代の人にはトップアプローチでの成功体験を積んでもらいたいと考えており、そのためのサポートにも取り組んでいきます。
品川時代に痛感しましたが、お客様の経営層にプレゼンをするというのはとても苦しい仕事です。お客様のバックボーンをしっかりと研究、理解しなければなりませんし、いくら準備を重ねてもそう簡単には成功しない。それでも、一度やりきることができたら「またやりたい」と思える手応えを感じられるのです。
サポート手段のひとつとして、NEC Future Creation Hubにおける顧客対応やコンテンツ内容を蓄積し、どんなストーリーがお客様の心に刺さるのかを“虎の巻”的にまとめて、それぞれの営業担当が活用できるようにしていく方針です。
――最後に、NEC Future Creation Hub/Labという2つの施設ができたことで、NECにどのような変化が起きると考えていますか。
野口:これまで、お客様が新たな事業領域にチャレンジする際に、そのパートナーとしてNECが指名されることはあまり多くなかったかもしれません。言葉は悪いですが、NECはとがったITベンダーとは見なされておらず、リスクを抑えるための“すべり止め”的な位置付けだったのだと思います。
しかし品川での取り組みを通じて、NECに対するお客様の見方が少しずつ変わってきたことを感じました。実際に、新規事業のビジネスパートナーとしてNECを単独でご指名いただくケースも増えました。中期経営計画で新たな注力領域を示したとおり、NECはいま大きな転換期にあり、苦しい状況の中でもここに投資したのは「危機感」と「可能性」の両方を感じているからです。
NECとの共創でお客様にお約束できることは、われわれはいつでも「ビジネス化」を明確に意識して取り組んでいるということです。ビジネスには泥臭い側面も多々ありますが、たとえそうした泥臭いことであっても真摯に取り組めるのがNECの強みです。
そうしたNECの熱量を感じていただき、「NECと一緒にやってみよう」とお客様の心に火を点ける。そんな場所としてNEC Future Creation Hub/Labを機能させ、NEC全社をドライブさせるような存在になれたらいいですね。
(提供:NEC)