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宇宙の「ごみ問題」解決へ新たな一歩、もりを発射して回収に成功

2019年02月19日 07時10分更新

文● Erin Winick

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上の動画は、「リムーブ・デブリ(RemoveDEBRIS:デブリ除去)」衛星が一連の成功を収めているスペース・デブリ(宇宙ごみ)回収実験の3回目の様子だ。

英国サリー大学の研究チームが開発したリムーブ・デブリ衛星は、今回、これまででもっとも難易度の高い実験を成功させた。張り出し棒の端に取り付けておいた別の衛星パネルに向かって、もりを秒速20メートルで発射したのだ。動画から分かるように、もりはそのパネルを突き刺して、捕獲に成功した。この研究チームは昨年、ある衛星に正確に狙いを定めて巨大な捕獲ネットを発射し、ネットで衛星を絡めとる実験も実施している。宇宙ごみを特定するためにライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)およびカメラをベースにしたシステムの実験も実施した。

地球の軌道はごみだらだ。地球の周りには現在、7600トン以上の宇宙ごみが漂っている。問題は、さまざまなものを宇宙へ打ち上げれば打ち上げるほど、それらが宇宙空間で衝突する確率が高まるということだ。衝突すると比較的小さな残骸が増えていき、今後の宇宙ミッションに深刻な危険性を孕ませる可能性がある(ちょっと大げさに作られているが、映画『ゼロ・グラビティ』を見るといい)。

3月に実施されるリムーブ・デブリ衛星の最終的な実験は、自己犠牲を伴うものとなる。この衛星は、帆を張って自らを地球の大気圏内に運ぶように設計されており、 大気圏内に到達したら自身を炎上させるのだ。役目が終わった時に自らの後始末をする衛星が増えれば、軌道内に宇宙ごみがこれ以上増えていくのを防げる。

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