建仁寺 両足院と建仁寺 正伝永源院で
特別に撮影をさせてもらう
次に訪れたのは、京都駅から市バス206系統・100系等「東山安井」下車、5分ほど歩いた祇園にある建仁寺 両足院。
御本尊に阿弥陀如来像、両足院に毘沙門天が鎮座するこの寺院に入ると、あちらこちらに枯山水の庭があり古都を感じさせてくれる。さっそくシャッターを切る。
ここで特別公開されるのは、如拙筆「三教図」(1月10日〜1月31日の展示)、伊藤若冲筆「雪梅雄鶏図」(2月1日〜2月25日)、そしてしろき観音像(2月26日〜3月18日)といった寺宝。如拙筆と伝わる、孔子・釈迦・老子が寄り添う姿を描いた重要文化財「三教図」は、まさに圧巻の一言。
さらに桃山時代(17世紀)に長谷川等伯によって描かれた水辺童子図は、薄暗い部屋の中でもそのいきいきとした景色が映し出される。
その窓から見えるのは、桃山時代に作られたという枯山水の庭。やわらかい日の光と、室内のトーンの陰影と共に、水辺童子図がよりしっとりと見えた。
この寺院では、単に寺宝を大事にするだけでなく、今の時代に仏教の教えを伝えようと挑戦していること。最近完成したという障壁画の1つは、釈迦が霊鷲山(りょうじゅせん)で説法した際、花をひねり大衆に示したところ、誰にもその意味がわからなかったが、ただ摩訶迦葉(まかかしょう)だけが真意を知って微笑したという故事を描いているのだが、その淡い色彩の濃淡をEOS RとRF35mmは綺麗に写し取った。
この写真の中の誰が微笑んだ人かおわかりだろうか。だまし絵の要素を含んでいるので注意深く観察して欲しい。
さて、建仁寺 両足院から歩くこと5分。この日の最後として、建仁寺 正伝永源院を訪れた。
このお寺は建仁寺の塔頭寺院で、織田信長の弟である大名茶人・織田有楽斎と、熊本藩主・細川家の菩提所として知られている。
細川家といえば、第79代内閣総理大臣の細川護熙の家系で、寺院内には、細川氏が描いた障壁画を見ることができる。
また境内には有楽斎が建てた国宝の茶室「如庵(じょあん)」があり、「有楽囲(うらくがこい)」「有楽窓(うらくまど)」など有楽斎好みの特徴を見ることができる。
今回は、狩野山楽筆の鮮やかな金碧障壁画「蓮鷺(れんろ)図」や「鍾馗(しょうき)図」(3月1日〜3月18日)、中国・南宋時代の「架鷹(かよう)図」などの寺宝が特別展示されている。
中でも圧巻は四面に描かれた「蓮鷺図」。正面座って右手が若年期、正面が壮年期、左が更年期という人間の一生を蓮の花で描かれており、池の風景と合わせて輪廻転生を表している。金箔はすでに黒ずんでいるものの、この障壁画がすべて陽の光に照らされて金色に輝いていた時は、どのような景色だったのだろうと妄想するだけでも楽しい。
薄暗い部屋の中で、渋く光る金色という難しい色彩と淡い白の蓮の花を、隅々まで丁寧にEOS Rは撮ってくれた。