すべてのクリエイターたちの悩みを解決する新しいマッチングサービス「FOLLY」
クリエイターと企業を中長期的な関係でつなぐ
クリエイターが潜在的に抱えている悩みとはなんだろうか。仕事の悩みは誰もが感じるものだが、その中でもいかに仕事を受注するか、どんな仕事をするのか、そして今のまま仕事を続けられるのか。そういった悩みを抱えるクリエイターは多い。特に、仕事は軌道に乗りつつも、仕事を選ばずに受けた結果、単なる作業になっているだけ、という中堅クリエイターの悩みは深い。
そんな悩みを抱えつつも日々の仕事をこなすクリエイターたちのために立ち上がったのがアートリガーだ。クリエイターたちの悩みを解決する新しいサービス「FOLLY」の仕組みを同社代表取締役・CEOの堺谷円香氏に話を聞いた。
FOLLYはクリエイティブ領域に着目した採用支援ツールで、クリエイターたちに配慮した機能を取りそろえているのが特徴。単に採用のためのツールではなく、自分をアピールするための作品集(ポートフォリオ)ツールとしても活用ができるなど、クリエイターたちのためのツールだ。目指すところは「ハリウッドの映画制作チームのような集まり方が近い」と堺谷氏は言う。
FOLLYはクリエイターが自身のポートフォリオをサイト内で作成することができる。ポートフォリオは、クリエイター自身の紹介状であるとともに、採用企業にとってはクリエイターを起用するための参考となるため、重要な機能だ。
クリエイター向けのポートフォリオは、他社サービスでも利用することができるが、FOLLYの大きな特徴は、ポートフォリオを閲覧するためには費用が必要になるという点だ。
この費用は、サービス内の専用通貨である「WOW!」を利用し、リワード(報酬)という形でポートフォリオを見たいユーザーから、ポートフォリオを公開するユーザーに支払われる。リワードはクリエイターがAmazonギフト券に交換することができる。このリワードは、クリエイターと話すとき(チャット含む)や面談するときにも発生する。
リワードの発生はクリエイターにとっては大きなメリットだ。リワードが発生することで、企業側はクリエイターのポートフォリオを単なる参考として使うだけでなく、今まで以上に真剣にクリエイターを探すためのツールとして活用するようになる。
チャットなどで話を聞く場合も、「ちょっとアイデア出しを頼む」などのざっくりとした要件でフリーのクリエイターにアプローチするのではなく、きちんと仕事を前提とした交渉になるだろう。
実際に会う段階になると必要なWOW!がさらに多くなるため、企業側はクリエイターと面談する場合にきちんと下調べをするなど、要件をまとめて挑むようになり、互いに良い緊張感のある打ち合わせを実施することができると堺谷氏は言う。
特にフリーランスのクリエイターは、制作以外にも様々なクライアントの要望を聞きながら営業や事務作業、新しいデザインやツールのインプットなどを常に行なう必要があり、実際に制作に集中できる時間を確保することはとても難しいと堺谷氏は強調する。今までの形態の打ち合わせの場合、仕事に繋がりにくかったり、アイデア出しだけの無償奉仕になってしまう危険性もある。リワードが発生すると企業側も慎重になるが、クリエイター側の責任の感じ方や姿勢も変わるだろう。
なお、1WOW!は500円相当。WOW!によって、企業、クリエイターともに、採用ツールの意識のあり方を変えるのがFOLLYというわけだ。
WOW!は、FOLLYの機能の一端でしかない。FOLLYで提供するポートフォリオでは、他にはない特徴を備えている。クリエイターが作成したポートフォリオには、実はクリエイター名が表示されない。これは、クリエイターの名前で選ぶのではなく、企業が欲しているイメージから選択できるように、という考えからだ。
クリエイターにとっても「有名だから」「話題だから」といった理由で選ばれるのではなく、実力で選ばれることになり、チャンスが広がるわけだ。
企業側が見られるポートフォリオは当初は一部だけで、その中から気に入ったものがあればWOW!を使ってすべてを閲覧する、ということができるようになる。
ポートフォリオを利用するためだけなら既存の無料サービスや、SNSを使うこともできるが、WOW!の導入によりFOLLYでは真剣にクリエイターを探している企業とクリエイターが出会えるポートフォリオを提供できると考えている。
堺谷氏は、このポートフォリオを単なる採用支援ツールとして考えているわけではない。将来的にはポートフォリオに保存したコンテンツ自体を売買可能にすることを狙っているのだ。
「コンテンツの取引は一次流通のみに留まらず、二次流通、三次流通以降も可能」と堺谷氏。コンテンツ取引の流動性や換金性の活性化を目指しているという。そのため、IP管理機能を設け、コンテンツ取引のプラットフォームとして今後成長させることを目標としているそうだ。
FOLLYでは、このIP管理のために、ブロックチェーン技術を採用している点が強みと言える。「コンテンツ取引においてロイヤリティ回収や分配するためのエンジンのような部分」と堺谷氏はその自社技術の一部を紹介。すでに3つの特許を出願しており(内1件は国内特許取得PCT出願済み)、社会実装に足踏みをするブロックチェーン技術を実用化したサービスはまだ少ないと言う。
堺谷氏は、企業はクリエイターをインハウスでまかなうことを希望しているが「それが難しいのが現実」と話す。そのため、社内での人材育成をしつつ、外部の信頼できるパートナーを探す必要がある。
逆にクリエイター側で、特に中堅のクリエイターは、すでに30~40代となり正社員を目指す人はあまり多くはない、と堺谷氏は話す。
この両者を結びつけるのがFOLLYだ。企業はプロジェクト単位でクリエイターを探し、クリエイターはプロジェクトに中長期的に参画することで、その会社との関係をより深められる。
こうした関係を築くことで、企業とクリエイターは互いを知ることができるので、将来的にクリエイターがその会社に就職することになる際も、中長期的なプロジェクトを通して築いた関係があるので安心できる。
中堅のクリエイターでも、自身の仕事のやり方や方向性とフィットする会社に転職したいという声も根強い。プロジェクト単位で交流していれば、いきなり採用をするよりも信頼関係を作っているので長続きしやすい。
現在、クリエイターの人材不足は深刻で、特に優秀な人材を企業が囲い込むのは難しい時代になっている。そんなときに、プロジェクトごとに、その内容に沿ったクリエイターを探して集め、中長期的にプロジェクトを運用する。そうした「ハリウッドの映画制作チームのような集まり方」も視野に入れながら企業は人材の獲得を目指すべきだと堺谷氏は言う。
クリエイターと企業の働き方を円滑にするために、FOLLYはサービスをさらに進化させていく。それを利用するクリエイターの印象として、堺谷氏は「制作する人は悩むことが多く、なかなか自信を持てる瞬間が少ないが、世の中に求められていることは間違いないと思うので自信を持って欲しい」とエールを送る。
「そのためにFOLLYを活用して、便利に使って欲しい」そう語る堺谷氏。クリエイターやデザイナーが、新たな職を得て、新たなチャレンジができる採用支援ツール、そしてその先のコンテンツプラットフォームへと進化するFOLLYに注目したい。