OSの持っている最新機能をユーザーに使いやすく提供する
大谷:さて、基本的な話ですが、CLOMOのようなMDMはどういう機能を提供しているんでしょうか?
川村:MDMにはリモートワイプのような紛失・盗難対策、カメラ利用禁止といったスマートデバイスの機能制限、デバイスのOSやアプリの状態収集といった資産管理と大きく3つの機能があります。以前は、紛失・盗難対策に焦点が当たっていましたが、最近は管理者の運用を支援する機能制限が活用されるようになっています。
大谷:スマホ登場以降、雨後の竹の子のようにMDM製品が出てきてきましたが、最近は製品自体が減っている印象があります。
林:大手キャリアがリモートワイプなどの基本機能をサービス提供するようになってきたのもあって、MDMベンダーはかなり淘汰されてきた印象です。うち以外だとActive Directoryなどと連携するエンタープライズ向け製品か、リモートワイプのみの簡易なサービスの両極端ですかね。
大谷:スマートデバイスの利用自体は拡大しているにも関わらずということですよね。個人向けスマートデバイス市場が飽和しつつある現状では、キャリアも法人向けとIoTの強化という方向に舵を切ってますからね。CLOMOとしての強みを教えてください。
林:決して大きくない福岡の企業ですが、MDM専業でビジネス展開しているので、やはり最新のOSの動向はつねにウォッチしています。iOSの新しいバージョンが出たら、β版でいち早く試して、新機能をリリースしています。
大谷:最新技術への追従が早いのは専業メーカーとしての強みですね。
川村:MDMを機能させるためのAPIは結局OSメーカーが作るので、これをいかに表現するかがMDMメーカーとしての腕の見せ所です。
実際、OSメーカーがMDMベンダーに求めるスキルレベルが上がっているんだと思います。「Google社のAndroid Enterptriseに対応」と一言で言っても、めちゃくちゃ難しいですからね。少なくとも複業でMDMで作っているところは付いてこられないです。
林:現時点でAndroid Enterptrise Recommendedになったベンダーは世界で9社だけですし国内ではソフトバンクさんとうちの2社だけです。
川村:たとえば、従来型のMDMで用いられていたGoogle Management APIがAndroid P(10)以降はサポートされなくなります。
大谷:レガシーなMDMはAndroidの進化からは取り残されてしまうということですね。
林:実際、最新のOSの進化についていけずに、他のMDMベンダーからお客様を引き受けて頂けませんか?という話も来ます。
CLOMOを使えば働き方改革にも寄与する
大谷:実際、ユーザー企業はどのようにCLOMOを使っているのでしょうか? あまり厳しく機能制限すると、ユーザーがスマートデバイス自体を利用しないとか、私物端末を裏利用してしまいますよね。
川村:確かにせめぎ合いはありますね。お客様が一番悩まれるのは、やはり「iOSであればAppStore、AndroidであればPlayStore」の運用です。アプリの導入に自由度を持たせれば持たせるほど、本来のデバイスの利用用途を見失うので。
とはいえ、MDMを入れると、どんなアプリが入っているのか見えるので、抑止力になります。一方で、経費精算や地図にはこのアプリを使ってほしいという場合は、プッシュでインストールすることも可能ですし、お客様専用のアプリポータルを用意して、制限をしつつユーザー自身に導入してもらうことも可能です。
大谷:なるほど。制限するというより、使い方を規定するためにMDMを使うんですね。
川村:会社として「このデバイスはこうやって使ってほしい」という想いを込めてあげるためにMDMを利用することが多いですね。「とにかく制限する」「利用アプリを決める」「限られた範囲でユーザーに任せる」の3パターンになりますね。
大谷:デモを見ると、ITの管理者に選択肢を与えてくれるんですね。
川村:はい。最新版では「CLOMOワーク・スマート」という機能を追加しています。
確かにMDMを使えば、スマートデバイスを使って、いつでも、どこでも、セキュアに仕事ができます。でも、裏を返せば、私たちって働きすぎてしまう環境を作ってきてしまったとも言えるんです。この反省を活かして作ったワーク・スマートを使えば、定時を過ぎると、許されたアプリ以外のアプリアイコンが表示されなくなり、まったく業務ができなくなります。
大谷:働き方改革で重要な労務管理にもきちんと活かせるわけですね。
川村:もちろん、延長して利用することも可能ですが、その履歴は残ります。1ヶ月に何十回も延長して使っていたら、やはりおかしいという話になりますよね。そこは労務管理になります。
OSの素晴らしい管理機能をCLOMOで使いやすく
大谷:とはいえ、モバイルOSも機能をどんどん拡充していますよね。わざわざMDMを導入しなくても、ある程度のことはできてしまうんじゃないでしょうか?
川村:その点、私たちはお客様の管理負荷を下げることにこだわっています。アップルも、グーグルも、さまざまなAPIやサービスを提供していて、それらを組み合わせれば確かに素晴らしい管理ができると思います。でも、いくらOSメーカーがいい機能を提供していても、お客様が使えなかったり、SIerさんが提案できなければ意味がないんです。
こうした管理負荷を下げるために、使いやすいGUIやマニュアルを提供したり、営業やサポートを丁寧にしているのが、私たちのCLOMO MDMです。決して製品だけではない。OSメーカーの素晴らしい技術をCLOMOを介してうまく使ってもらいたいですね。
林:私たちもカスタマーサクセス本部を作って、導⼊したばかりのお客様にもきちんと使いこなしてもらえるようサポートをさせて頂いています。お客様からも他社はどんな感じで運用しているのか聞かれることは多いですね。新しいOSの動向やユーザーの利用動向を披露するようなセミナーをさせていただくと早い段階でたくさんの申込みを頂けます。
川村:最新のiOSやAndroidを使えば、デバイスのキッティングも非常に容易です。手順を見せると、お客様もこれならできると感じていただけます。みなさん、この事実を知らないだけなんです。
大谷:最後に今後のCLOMOの進化について教えてください。
川村:営業という観点だと、法人回線の1/3はいまだにガラケーなので、これをスマートフォンに移行するタイミングでCLOMOを入れてもらいたいです。あとは簡易なMDMでリモートワイプしか使っていないというお客様、Windows PCとスマートデバイスで異なる管理を行なっているお客様にも、ぜひCLOMOを使ってほしいですね。
林:最近では、社用端末ではない事例もポツポツ出始めてきました。店舗用のキオスク端末、車載端末、デジタルサイネージなどです。IoTなどの無人端末の利用を前提とした機能強化も進めていく必要があると考えています。
川村:正直、駅に設置されたデジタルサイネージなんて絶対盗まれないので、盗難・紛失対策は不要ですが(笑)、あれも汎用OSやアプリで動いているのでCLOMOで培ってきた運用機能は生きると思います。
大谷:デジタルサイネージは、よくOSが落ちてブルースクリーンになってますしね(笑)。やはり管理は必要だなと思います。
林:あとクラウド型のMDMなので、われわれのサーバーには多くの利用データが溜まっているのですが、これはもっと活用できると考えています。モバイルの活用情報を分析し、お客様の労務管理や経営企画などに活用してもらえるようにしていきたいです。
大谷:ありがとうございました!
(提供:アイキューブドシステムズ)