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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第245回

”ギガ”無制限の米国から帰国し、あらためて考える日本でのスマホ生活

2019年01月19日 08時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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SIM認証のWi-Fi利用は示唆に富む

 モバイル通信プランは政府の介入で、2019年に値下げされることが予測されています。それ以前に、すでに十分選択肢が広がっている格安SIMなどの検討すべきなのですが、大手キャリアにも通信の安定性以外に示唆に富むサービスが存在します。

 たとえば、NTTドコモなどの大手キャリアは街中に設置されているWi-Fiを、ログイン操作が不要なSIM認証で利用できるので、ギガの節約になります。Wi-Fiを使っているかどうかも意識せず、駅などの施設でいつの間にかWi-Fiに切り替わっている状態。

 もちろん、Wi-Fiになったかどうかを確認しなければ節約の効果はないのですが、それこそ、駅で電車を待っている間に、音楽のプレイリストのダウンロードを済ませておけばよかったわけです。

 携帯電話は「いつでも、どこでも」というアイディアで使われていますが、ギガという制約でどこでも好き放題やっていいわけではなくなってきています。家の中にはWi-Fiがあるのは当然なのですが、街中の特定の場所でも家の中と同じようにWi-Fiを用いた特定の作業が可能になるエリアが広がっていることになります。

特定エリアでのみ超高速な5Gは今のWi-Fiに近い!?
そこでどういう新しい進歩が生まれるか

 こうした使い方は、4Gを下敷きにじわじわと広がり始めるであろう5Gでの体験の先取りのようなイメージになるのではないか、と思います。

 5Gは光回線の2GBの10倍にもなる20GBの速度実現を2020年開始予定で取り組んでおり、米国では最大1Gbpsの5Gサービスの開始がアナウンスされました。ただし、1Gbpsという速度は日本の4G LTEの最高速988Mbpsに近く、さほど魅力的ではありません。

 米国では4Gインフラの成功で、モバイル通信の速度と信頼性が飛躍的に向上しました。そのことが、アプリ経済圏、シェア経済といった新しいビジネスを成立させたといっても良いでしょう。単純な話で、必要になったとき、出先でアプリをダウンロードしてすぐに使えるという、当たり前のことができるようになっただけで、進歩だったのです。

 5Gにも、そうした不可能を可能にする要素に期待がかかります。しかも特定の場所で。みなさんなら何がしたいでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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