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医学部入試における女性差別

2018年12月25日 09時00分更新

文● 池内 了 編集● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 順天堂大学医学部が入試の採点で女性受験生を不利にした問題について。大学は昔の論文を採点根拠として提出していました。論文の筆者や関係者に直接連絡をとって意見を求めたところ「主旨と違う」「データの悪用だ」と否定的でした

 取材を通じ、大学は自身の差別行為を正当化するために科学を悪用したのではないかと憤りをおぼえました。医学をかかげる大学による科学への裏切り行為ではないかとも感じました。

 問題について疑似科学に関する著書もある池内 了先生に意見を求めたところ、医学部入試と女性差別をテーマにしたオピニオン記事を寄稿いただきました。みなさんの意見もぜひSNSでお聞かせください。(ここまで担当編集・盛田 諒

●医学部入試における女性差別

 東京医科大学の入学試験で女子差別が行なわれていることが明らかになってから4ヵ月経ってようやく、文部科学省が医学部医学科がある全国81大学の入試実態に関する最終調査報告書を出した。女子受験者や浪人回数の多い受験生を不利に扱う、卒業生の子どもや特定地域の出身者を優遇するなどを「不適切入試」と認定して、大学名を公表したのである。

 おそらく、まだ他にも私たちの常識的判断では「おかしい」と思えるケースがあるだろうが、文科省は全大学のデータを公開していない。どうやら、入試で大学が行なっている「裁量」について大学側と文科省との間で対立があるためらしい。

 いずれにしろ、私たちは、大学入試では受験生の学力をペーパーテストで客観的に評価して、公明正大に行なわれているはずと考えていたのだが、不当な差別がこっそり行なわれていたことが明らかになった。このことは私たちを裏切るものであり、公正であるべき大学の信頼を大きく損なうことになったのは事実だろう。

 ここでは、主に女子差別についてのみ論じる。

 「男女共同参画社会」が言われてから20年以上経ち、「女性活躍法」なる法律もできて、女性を対等平等なパートナーとして位置づけることが「国是」となっている。しかし、現実は男女平等という状態には程遠い状況である。男女平等となる大前提には「機会平等」が満たされていなければならず、それが保証されてやっと「結果平等」となっているかどうかを検証することができるのだが、今回問題となった医学部の入試における女子差別は、第一歩である「機会平等」を踏みにじっている。日本では、はしなくも男女平等はまだまだ口先ばかりで実態が伴っていないことを露呈することになった。

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