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データの悪用ではないか:

順天堂大医学部 女性減点のいい加減な理由

2018年12月13日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 順天堂大学が医学部入学試験の面接試験で、女性受験生だけを0.5点ぶん減点していたことが12月10日にわかりました。大学が減点の根拠の1つとした論文に関わった研究者の1人は「データのひどい悪用です」と批判しています。

 第三者委員会の報告によれば、大学は、女性受験生の方が男性受験生よりもコミュニケーション能力が相対的に高い傾向があることから0.5点減点したと説明しています。面接試験は1.0~5.0点まで0.5点刻みの9段階で評価するもので、0.5点の差は合否に少なくない影響を与えます。委員会は、面接試験得点の男女差は6年間で平均0.20点程度にとどまっているため0.5点は調整として適切ではなく、そもそも面接は性差よりも個人の資質や特性を重視すべきもので、男女の合格基準に差をつける理由が合理的とは思えないという旨の結論を出しています。

 報告によれば、女性受験生は男性受験生よりコミュニケーション能力が高いという説は、1991年、アメリカ心理学会の学術誌「Psychological Bulletin」に掲載されたテキサス大学のローレンス・コーン教授の論文を根拠の1つとしていました。しかし、論文はコミュニケーション能力の性差が主旨ではありません。

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