画像の圧縮形式は「HEIF」にも対応
写真やビデオなどの映像処理を司るISPも「Spectra 380」に進化。背景をボカしながら、4K HDRで60fpsのビデオ撮影が可能になった。こうした機能は「コンピュータビジョン」と呼ばれ、AIを活用する。CPU、GPU、DSPと比べ2倍から4倍ほど、消費電力に差がつくという。また、画像の圧縮形式はiOSでも採用される「HEIF」に対応。HDRや深度情報、バースト写真などを1つのファイルに情報として格納できるほか、ファイルサイズも50%程度、コンパクトになる。
HEIFでは広角、標準、ズームのトリプルカメラを採用した端末で一度に3枚の写真を撮影し、それを1つのファイルとして取り扱うといったことも可能になる。動画撮影では、「HDR10+」に対応。HDR+はシーンごとに、最適なトーンマッピングを実現する技術。映像全体で一律に処理がかかっていたHDR10の上位互換規格となる。
多数のメーカーがSnapdragon 855採用に名乗り出た
4日の基調講演では「5G対応」が高らかにうたわれたSnapdragon 855だが、チップセットに内蔵されるモデムは「Snapdragon X24モデム」で、これは4Gに対応したものだ。下りの速度は最大で2Gbps。最大で7波の周波数を束ねるキャリアアグリゲーションに対応する。5Gに対応する場合は「Snapdragon X50モデム」を組み合わせる形になる。
同時に、ミリ波に対応したアンテナとRFフロントエンドをモジュール化した「QT052」も用意。これらを組み合わせることで、端末メーカーはsub-6(6GHz帯以下の周波数)とミリ波に両対応したスマートフォンを容易に開発できるのが特徴だ。5GモデムとSnapdragon 855をワンチップ化しなかったのは、5Gがまだこれからの技術で、標準化の動向をにらみながら開発を進めてきたため。「LTEのときも、当初2年間ぐらいは別々のチップを組み合わせていた」(上級副社長 アレックス・カトウジアン氏)といい、その方針を踏襲した。
初日の基調講演では、サムスン電子が米国でSnapdragon 855を搭載した5G対応スマートフォンを投入することが発表されたが、2日目も冒頭で中国メーカー・OnePlusのCEO、ピート・ラウ氏がゲストとして登壇。クアルコムと協力しつつ、5G経由で電話を8月に、ツイートを10月に初めてしたことをアピールした。OnePlusもSnapdragon 855を搭載した5G対応スマートフォンを投入する予定で、英キャリアのEEと研究開発で協業することが発表された。
同日、中国でもOPPOやVivo、ZTE、Xiaomiといったメーカーが、Snapdragon 855やSnapdragon X50モデムを搭載した端末を開発すると表明している。インフラが普及するにはまだ時間がかかるが、2019年は、スマートフォンが続々と5Gに対応していくことになりそうだ。