アプリ向けマーケティングツール市場では圧倒的シェアを確立し、ウェブ市場にも参入したRepro。次に目指すのがグローバル展開だ。2018年7月にはAIの研究開発チーム「Repro AI Labs」を設立し、同11月26日には「少年ジャンプ+」の実証実験の成果が発表された。AI研究の目的、グローバル市場で勝つための戦略について、Repro代表取締役の平田祐介氏にお話を伺った。
アプリ向け「Repro」のブランド力でウェブ市場でも2、3年以内にトップを狙う
モバイルアプリ向けマーケティングツール「Repro」は、世界59ヵ国6000以上のアプリに導入されており、日本で流通している有名なアプリに対しては、ほとんど「Repro」が入っている状況だ。アプリ市場データを提供する米アプリ関連リサーチ企業による国内のマーケティングオートメンションツールSDKのシェアランキングでも、有料ツールで圧倒的ナンバーワンと評価された。
しかし、一定のシェア率を超えたことによって、新たな課題も生まれる。ITベンチャーとして成長し続ける必要があるなか、成長が鈍化していくリスクだ。
Reproでは、この課題を解決するためのテーマとして2つを掲げている。
ひとつは、既存のお客さまにクロスセルでより付加価値のあるサービスを新規に投入すること。もうひとつは、国内で築き上げたアプリでの絶対的な地位を海外にも広げることだ。
国内向けの新規のサービスとして、10月4日にウェブ向けの「Repro Web」をリリースし、2019年から拡販フェーズに入る準備をしているところだ。
ウェブ向けのサービスは、クライアントからの要望もあった。ひとつのサービスをウェブとアプリの両方で提供しているケースはよくある。たとえば、不動産情報サービスでは、移動中にスマホでお気に入りの物件を検索し、家に帰ってからPCで詳細な比較をして、内見申し込みをする、という使い方をするユーザーが一定数いる。これまでのアプリだけの「Repro」では、アプリではお気に入り登録までなので、コンバージョンにいたっていないとみなされてしまい、実際はウェブ経由で申し込みをしたユーザーにまで、内見申し込みを勧めるプッシュ通知を送ってしまっていた。アプリとウェブを横断したユーザー行動を把握したうえでのコミュニケーションがとれる環境をつくることが必然だったという。
ウェブ向けのマーケティングツールには先行する競合プレーヤーがおり、後発での参入は、かつてのReproなら厳しかっただろう。
「Reproが5年前に創業した当時、アプリ向けのマーケティングツールに参入する企業は誰もいなかった。啓蒙活動を続け、市場を開拓していった結果、国内で圧倒的なナンバーワンになった。このブランドを掲げてウェブに展開したことで、ユーザーの期待感が高く、既存の他社からの乗り換えも検討してもらえている。想像以上の良い立ち上がりで、2、3年内にはウェブでもトップシェアがとれるのでは」と平田氏。
もうひとつのミッションとして、来年以降は、アプリのマーケティングツール「Repro」の海外展開により力を入れていく。現在世界59ヵ国にユーザーを抱えているが、海外における有料転換率は、日本に比べて約10分の1と低い。対策として、現地に拠点を設置し、プッシュ型のコミュニケーションやセールス活動に積極的に取り組んでおり、東南アジアを中心に、少しずつ有料会員に転換してきているそうだ。
「海外勢にセールスマーケティングで勝ち、日本のソフトウェアがグローバルで認められるところまでやりきりたい。それがReproの第2フェーズ」と位置付ける。
第1フェーズでReproブランドがここまで強くなったのは、顧客のアプリを成長させてきた実績によるものだ。
「単にソフトウェアを開発・販売するのではなく、顧客のKPIを伸ばすことに対して報酬をいただいている、というのが創業時からのスタンス。クライアントにReproを使い倒してもらえるような環境を構築することに注力してきたことが、結果としてブランドの強化につながっていると考えている」
では、具体的にどのようにReproは顧客のKPIを改善しているのか。