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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第80回

STAR WARS ドロイド R2-D2を作ってみた

2018年11月27日 12時00分更新

文● 前田知洋

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 ご好評いただいている(←自分で言うな(笑))自腹レビューシリーズです。毎回、いただいた原稿料を自転車操業的に紹介プロダクトにつぎ込んでおりますが、今回は誕生日に友人からプレゼントされた「STAR WARS DROID INVENTOR KIT」。電子回路の組み立てキット「littleBits」の1製品で、プレゼントされたときは、いい大人が嬉しくてジャンプしました(笑)。特定企業とのタイアップ記事じゃありませんのでご安心ください。

スタイリッシュで現代風な電子トイ

 写真を見るとおわかりいただけるかもしれませんが、かなりの大きさでスタイリッシュな外箱。これだけでもテンションがあがります。

外箱は旅行カバンくらいの大きさ(笑)

 ただし、パッケージのほとんどが英語表記だったので「よ~し!英語の説明書と格闘するかぁ~」と、意気込むも、そんな心配もいらないことが後で判明します。

昔の電子ブロックを知っている筆者はビックリ!

 「STAR WARS DROID INVENTOR KIT」の部品構成は、全部で30ピースほど。その中心となる電子部品のモジュールは、たった6個です。STAR WARSファンなら「R2-D2の外観こそが中心のパーツだ!」というかもしれませんが…。

 しかし、「DROID INVENTOR KIT(ロボット発明キット)」と命名されているからには、やはり大切なのは電子回路やモーターのはず。説明書…というより、下敷きみたいな説明カードによると、まず組み立てるのも電子モジュールや電池を接続するところから。

たった1ページ、「START HERE」で始まる単純な説明イラスト

 電子モジュールは、おたがいに近づけるだけでマグネットでパチンと接続されます。マグネットの極性や突起があるので、反対向きには取り付けられません。小さな子供でも安心設計。もちろん、大人がやっても気分がいい!

モジュールどうしはマグネットで接続

 筆者が子供の頃、電子ブロックというラジオなどが作れる学習トイがありましたが、かなり進化した感じです。

計算された感動と驚きのステップ

 まず最初のステップは、2つの電子モジュールと電池を接続してスイッチをオンにすること。そうするとLEDライトの点滅と同時に、あのR2-D2の「ピッ、ピコピコ!」という音が流れる…。そんなシカケに、まず感動!

 次のステップは、iPhoneなどで専用アプリをダウンロード。このアプリは、組み立て説明とロボットをコントロールするリモコンを兼ねています。ちなみに、日本語に対応していて…、というよりも文字による説明はほとんどなく、ほぼすべてが3Dアニメです。「最近のオモチャはこうなっているのかぁ…!」と、オジさんはクラクラして未来的なサプライズを味わいました。

 映画『STAR WARS』の配給元となったディズニーと連携しているおかげで、アプリを起動させると映画のドラマチックな音楽が流れるのもニクい演出。アプリに用意されたボタンを押すと、R2-D2のいろいろな感情(?)の声を電子回路に喋らすことができる…、そんな演出です。

用意されたR2-D2の音声は22種類も…

 つまり、ユーザーは「あっ、ドロイドの音声ユニットが完成したんだな」と、組み立てを始めて数分で実感できる。このあと、操縦用のサーボモーター(回転する角度を指定できるモーター)を組み上げ…、といっても、これも2~3のモジュールと部品を接続するだけ。アプリで「おっ!ちゃんと動くぞ」と確認し、動力系のモジュールも同様に接続。これでモジュールの組み立ては終了です。

拡張性も魅力

 次に今完成させた3つの部分(音声回路、サーボモーター、動力)を一体化させ、R2-D2のボディに収納して完成です。同梱のステッカーを貼ると、よりリアルな外観になるのですが、筆者は透明のボディが気に入っているのでそのままにしました。

センサー類を取り付けるかもしれないので、透明なままのR2-D2

 さらに、いくつかのステップがあり、音声回路に自分の声を録音させたり、同梱の「対物(人感)センサー」をつけることもできます。ボディをR2-D2から牛乳の紙パックにダウングレード(?)することもでき、子供だったら永遠に遊べそう。

 また、この「littleBits」シリーズでは、さまざまな追加モジュールが販売されています。IoTを実現する同社の新シリーズの「cloudBit」のモジュール群も2017年に無事に日本の技適マークを取得。筆者のR2-D2がインターネットに繋がる可能性もあるかも…。そう考えると胸熱です。

成功のポイントはユニークさと可能性、そしてつながりと消費期限

 この商品、スタートアップ企業だったlittleBits Electronics社が巨大企業のディズニーと連携したことで脚光をあびた…、そんなアメリカンドリームの好例かもしれません。

 こうした夢のある成功商品が、50年以上前に電子ブロックを発売し、マイコンユニットまで発展させた日本発じゃないのは残念*です。こうしたプロダクトの成功のポイントは、ユニークさ(独自性)、可能性(拡張性)、つながり、そして消費期限だと筆者は分析しています。
*似た教材はドイツのエガー社からも1960年代に発売されていた。

 「つながり」とは、スタートアップ企業がディズニーと連携できたことや、のちに「インターネットともつながる」IoTユニットの発売までに発展したこともそう。消費期限が長く、永く愛されるコンテンツであることも重要だと思っています。

 この電子トイで遊んだ子供達が数十年後にエンジニアになり、素晴らしい発明や発見をしてくれること…。そんなことを切に願っています。もちろん、オトナにも期待していますが…(笑)。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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