企業ITインフラの現状と将来計画を調査、20カ国中最下位の日本企業に「2025年の崖」の警鐘
なぜ日本企業はITインフラ変革で後れを取るか、Nutanix調査
2018年11月15日 07時00分更新
ニュータニックス・ジャパン(Nutanix)は2018年11月14日、世界20カ国の企業(従業員500名以上規模)を対象に実施した、ITインフラの現状と将来の導入計画に関するアンケート調査「Nutanix Enterprise Cloud Index」の結果を発表した。
グローバルと日本企業の調査結果を比較すると、IT活用全般に対する日本企業の保守的な意識や、それに基づく取り組みの遅れが目立つ結果。発表の中でNutanixでは、デジタルトランスフォーメーションによって情勢が急激に変化する中で、日本企業が今後も技術インフラの格差を埋めることができず、「日本は経済/技術分野における将来的な優位性を失うリスクを抱えている」と強い言葉で警鐘を鳴らしている。
同日の記者説明会では米Nutanixのクリス・コザップ氏、ニュータニックス・ジャパン の河南敏氏らが出席し、今回の調査結果比較から読み取れる日本企業におけるITインフラやIT戦略の課題などを説明した。
「2年以内にハイブリッドクラウドへ移行」世界平均は41%、日本企業は24%
今回の調査は20カ国/地域の企業意思決定者2300名(2300社)を対象に、業務アプリケーションを実行するITインフラの場所、今後の導入計画、パブリック/プライベート/ハイブリッドクラウドの取り組みなどをオンラインアンケート調査したもの。企業規模は従業員500名以上で、日本からは100名(100社)が回答している。
※調査対象国/地域:<アジア>日本、中国、オーストラリア、インド、韓国、香港、シンガポール、<南北アメリカ>米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、<EMEA>イタリア、ドイツ、英国、フランス、北欧、オランダ 、スペイン、中東、南アフリカ
調査結果でまず目に付くのが、日本企業における「ハイブリッドクラウド」に対する取り組みの遅れだ。なお、同調査においてハイブリッドクラウドとは、プライベートクラウドとハイブリッドクラウドを併用し、かつ何らかの形で統合しているものと定義されている。
企業が保有/利用する業務アプリケーションが多様化し、それぞれの要件やビジネス状況に応じて最適なITインフラを選択したいという考えから、ハイブリッドクラウドに対する期待は日本企業でも高い。世界平均(91%)より低いものの、「企業にとってハイブリッドクラウドは理想的なITモデルである」と考える日本企業は81%を占める。さらに日本企業の92%は、ハイブリッド/マルチクラウド環境の中でアプリケーションを自由に移動させられる(ポータビリティがある)ことが望ましいと考えている。
しかし現状を見ると、日本企業におけるハイブリッドクラウドの取り組みはグローバル水準から大きく遅れている。IT導入モデルとしてハイブリッドクラウドを採用している日本企業は10%で、世界平均の18%を下回り、調査対象20カ国中で最下位となっている。
また、ハイブリッドクラウドが「自社にとって」理想的なIT導入モデルだと考える日本企業は16%、「2年以内に」そうなると考えるのも33%と、今後導入が進むことは期待できるもののグローバル水準からは明らかに低調だ。その反対に「従来型データセンター」が理想的だと考える日本企業は世界平均より10ポイント程度高く、ITに対する保守的な意識の強さが浮き彫りとなっている。
ハイブリッドクラウドの取り組みが遅れている理由の1つは、業務ワークロードのクラウド移行そのものが進んでいないという実態だ。日本企業における「パブリック/プライベートクラウドで稼働するワークロードの割合」の平均値は27%で、グローバル平均の36%を大きく下回る。その格差が1年後、2年後にはさらに拡大する傾向も予想されている。
ちなみに、日本企業における現在のパブリッククラウド(単一もしくはマルチクラウド)導入率は世界平均を上回っているが(前掲のグラフ参照)、IT予算におけるパブリッククラウドコストの割合はグローバルよりも小さい。「パブリッククラウドは広く利用しているものの、導入規模は小さく、プライベートクラウドとの統合運用も進んでいない」のが実態だと考えられる。