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自律するクラウドへ、「Oracle Open World 2018」レポート 第2回

OOWで語られた「なぜ“第2世代のクラウド”が必要なのか」とOCIのIaaS戦略、日本リージョン開設時期も

オラクルIaaS新発表まとめ、セキュリティ統合やEPYCインスタンスなど

2018年10月29日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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FaaSなどクラウドネイティブ向けサービスは“ベンダーロックインなし”を強調

 ここまではエンタープライズワークロード向けの発表だったが、続いて登壇したオラクル Software Development担当VPのラフール・パティル氏は、クラウドネイティブワークロード向けの新サービス発表を行った。

オラクル Software Development担当VPのラフール・パティル氏

 パティル氏は、クラウドネイティブ領域における“第1世代”クラウドは「ベンダーロックインされてしまう」点に問題があったと説明したうえで、“第2世代”たるオラクルはオープンソース(OSS)技術やオープン仕様をベースとしてクラウドサービスを構築し、ベンダーロックインしないことを明言した。もちろんオンプレミスや他社クラウドへのワークロード可搬性も確保し、顧客ニーズに応える戦略だという。

 「3分間で8つの新発表を行う」と宣言したパティル氏は、すでに提供中の「Container Engine for Kubernetes」における機能拡張をはじめ、OSSのFnプロジェクトベースで開発するFaaS(Functions-as-a-Service)の「Oracle Functions」、CloudEvents標準に対応した「OCI Events」、Apache Kafka準拠のメッセージングハブ「OCI Streaming」、OCI上のサービス/リソースに関するテレメトリデータを収集/可視化する「OCI Telemetry」、Telemetryで取得した数値に基づきスケールアップ/ダウン処理を行う「OCI Auto Scaling」、EメールやSMS経由でのメッセージ通知を可能にする「OCI Notifications」、TerraformベースのInfrastructure-as-Codeである「OCI Orchestration」を矢継ぎ早に紹介していった。いずれも2018年下旬~2019年上旬の提供開始予定としている。

オープンソースFaaSの「Oracle Functions」は2019年初旬から提供開始

サービス/リソースの稼働状況を可視化する「OCI Telemetry」は12月から

“ベンダーロックインなし”のサービス群によってクラウドネイティブワークロードのビルド/デプロイ/オペレーションを実現すると語った

* * *

 ASCII.jpの単独インタビューに応じたオラクル OCI プロダクト戦略担当VPのカイル・ヨーク氏は、オラクルの考える“第2世代のクラウド”のターゲットはエンタープライズ層であり、そうした顧客がOCIの価値を理解できるよう、ユースケースをより明確なものにしていく戦略だと語った。

 「ミッションクリティカルなアプリケーションやデータベースを完全にクラウド移行しているエンタープライズ顧客はまだ少ない。それは、既存のクラウドがまだ『信じられない』からだろう」(ヨーク氏)

米オラクル Oracle Cloud Infrastructure プロダクト戦略担当VPのカイル・ヨーク氏

 ターゲット層としてはまず既存のエンタープライズ顧客であり、次に“クラウドレディな”エンタープライズだと、ヨーク氏は説明した。

 「まずはグローバルで40万社以上の顧客、『オラクルの価値を知っている』顧客へのアプローチを強めていく。その次には『クラウド移行の準備はできているが、クラウドにはエンタープライズ向けの機能が足りていない』と考えている企業に、OCIのことを知ってもらいたい。まずは『みなさん! 信頼できるクラウドはここにありますよ!』と呼びかけるところからだね(笑)」(ヨーク氏)

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