ビクターブランドの製品もようやく増えそう
昨年秋、EXOFIELD技術を使った「WIZ MUSIC」とともに、再始動したビクターブランド。第1弾製品となった「WIZ MUSIC」は、使う人の耳に合わせてスタジオで測定データを取り、カスタマイズする仕組みのため、直販に限られていた。この販路を、測定環境のあるパートナーショップと協業して広げる。どこで買えるかは準備ができ次第、ウェブサイトなどで紹介するそうだ。
また要望を受ける形で、ヘッドホン部「HA-WM90-B」の単体販売も実施する。価格は、ヘッドホンと測定サービスを含めた場合で約45万円前後(税別)。ヘッドホン単品では35万円前後(税別)になる見込みだという。
また来年2月には、ビクターブランドを冠したハイコンポが登場するほか、ハイエンドの「CLASS-Sシリーズ」のヘッドホンも今後は「ビクターブランド」の製品として展開していくそうだ。
ビクターブランドは3つの軸で展開する
ブランド戦略部の山本耕志部長によると「(3種類あるプロダクトブランドの中でも)ブランドの顔ともいえるロゴが一番いいねと言われているのがビクターだ」とする一方で、「昨年復活させたばかりなので、どういう性格を持っているかがまだわからないブランドでもある」とした。
そこで音の領域では「原音探求」を中心に据える。また、ビクターのサブブランドとして「VICTOR STUDIO」の名前も前面に押し出し、事業部とスタジオエンジニアが一体となった製品づくりをしていくそうだ。現時点では国内製品のみが使用しているビクターブランドだが「段階的なグローバル展開」についても考えているという。
なおVICTOR STUDIOブランドについては、「Produced by VICTOR STUDIO」「Tuned by VICTOR STUDIO」「Made by VICTOR STUDIO」の3種類がある。
少々分かりにくいが、「Produced by……」はVICTOR STUDIOがトータルでプロデュースした製品に付けるもの。現在の製品では「HA-MX100-Z」などがこれに当たる。一方、「Tuned by……」は、事業部が企画開発した製品をビクタースタジオが監修・チューニングした製品に付けるものとなる。「WOOD CONE」や「K2」などの技術開発がこれに当たる。最後はグッズ/アクセサリーなど音響製品以外に使われるものだ。
また音質マイスターの秋元秀之氏は「原音」について持論を展開。まずは「生音」の再現を目指したアナログレコードの時代からCDの時代に変わるなか、原音の定義は「マスターテープの音を再現することだ」という分かりやすい概念に変わったと整理。
そのうえで、スタジオで作られた音源がそのままリスナーの元に届く「ハイレジ配信」の時代では「作り手と聞き手が同じデータを手に入れられるようになったからこそ、聞き方が重要になっている」とした。
つまりハイレゾ時代の原音再生とは、スタジオでアーティストや作り手が聞いている音がそのまま家庭でも響き、こだわりがそのまま感じられるものということになる。その実現には「音楽制作現場がどういうものになっており、スタジオでどんな音で鳴るか」を知っていること。これが重要と言うことになる。
「これこそが音楽本来の愉しみ方であり、音響製品が元来持つ役割。そのままを届ける“一貫性”を(家庭用のHi-Fi機器はもとより)車の中まで届けるのがビクターブランドの強みだ」(秋元氏)