Origami Conference 2018
日本のキャッシュレス比率を80%に!信金や銀聯との提携を発表したOrigami
2018年10月10日 09時30分更新
諸外国に比べてなかなか浸透しない日本のキャッシュレス環境。その決済比率を高めるべく、「お金、決済、商いの未来を創造する」というミッションをもとに、キャッシュレス社会を実現する金融プラットフォームを提供しているOrigamiが、9月20日、六本木ヒルズ森タワーにて「Origami Conference 2018」を開催した。
Origamiの事業戦略の発表や、パートナー登壇による事例紹介を行ない、新たな金融の未来に向けた戦略を発表した。同カンファレンスは、戦略や発表事項を紹介する場として、今後定期的に開催されるという。
パートナーとともにキャッシュレス推進を目指すOrigami
現在20%弱というキャッシュレス比率を2025年に40%、そして将来的には80%にしていくことを国として掲げているが、「Origami Conference 2018」ではOrigami代表取締役社長 康井義貴氏が登壇し、目標に向けて今後どのように進めていくかの展望について語るとともに、新たなパートナーや取り組みの発表が行なわれた。
現在オンラインでの決済は14兆円の市場があると言われているが、オフラインでの決済市場はその10倍の140兆円あり、個人消費を入れると300兆円の市場がある。このすべてのマーケットにインターネットが入り、リアルな世界にインターネットのテクノロジーが入ってくると語る康井氏は、Origamiのミッションとして未来の商いを創造することを挙げた。キャッシュレスというと決済に目がいきがちではあるが、実は決済だけではなく、Origamiは新たな金融分野に進めていくとコメントした。
その基本戦略は、国内外のパートナー企業とともに進める「オープン」「グローバル」「ローカル」の3つのキーワード。これらについてはOrigamiのディレクターを務める桑原氏や伏見氏らから発表がなされた。
日本の成長戦略の柱として官民の目標となっている「Society 5.0」は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会と変化してきた社会の5番目の新しい社会として掲げられている超スマート社会のことで、そのインフラ作りをパートナーとともに行なっていきたいとのこと。地域活性化や人手不足、少子高齢化といった社会の課題に対し、人の豊かな暮らしや社会ニーズに応えていくことがその解決につながると考えている。
キャッシュレスはあくまでその入り口にすぎず、その近接領域や、パートナーの事業を一緒に進めていくことが、Origamiの成長戦略の本質だと語られた。
具体的な事業の進捗としては、ユーザーの利便性を向上させ、便利・お得・安心に利用される環境作りをしていくとのことで、銀行との連携拡大、クレジットカードの連携拡大など、キャッシュレスでの支払いがより簡便にできる仕組み作りを推進する。また、国際的なセキュリティー基準を作り、安心してスマホ決済を使えるようにするとのこと。
加盟店についても新たに加わった店舗が紹介され、今後は公共料金の支払いサービスも予定されている。キャッシュレス比率80%を目指すには、小さな店舗でも使える環境作りが必要であり、地域の事業者の推進パートナーとして信金中央金庫と提携、全国261の信用金庫との連携が発表された。
また新たな協業パートナーとしてAir Payとの連携も発表されたほか、日本のOrigami Payユーザーが海外で安心して決済できるよう、グローバルパートナーとして銀聯国際とのアライアンスを発表。アジアの750万店舗でOrigami Payが使えるだけでなく、アジアのウォレットと連携して国内の加盟店がスムーズに決済できる環境作りが進められる。
さらに、Origamiが作る未来の金融というテーマで、康井氏は「決済の先に何があるのか」を示す、さまざまな施策を提示した。「Origami Coupon」は店の中にあるQRコードをスキャンすることでクーポンが受け取れ、支払いに使える仕組み。「Origami Wallet」はOrigamiの口座を作ることで、決済だけではなく送金にも使えるようにする。「Origami Trade」では支払い、送金に続く第三の選択肢として資産運用ができる。「Origami Credit」はまだインターネットに導入されていない与信の仕組みを取り入れている。
これらの施策はOrigami Payをベースとしてつなげていくことで、BtoCにもCtoCにも使える1つのプラットフォームとなり、これをオープンな仕組みで提供していくことが語られた。康井氏は、これらの仕組みの中でOrigamiだけで回していくのではなく、パートナーや加盟店と一緒に進めていきたいと呼びかけた。
また、このカンファレンスでは新たなサービスとして「提携Pay」が発表された。これはOrigamiの決済機能をパートナーのサービスに搭載できる仕組みで、SDKを自社アプリに組み込むことで決済機能が使えるようになる。
組織としての実行体制の強化、財務基盤の強化についても語られ、総額66.6億円の資金調達が実施されたことが発表されたほか、東京と大阪の拠点に加え、新たに福岡、仙台、名古屋、アメリカ、香港に拠点を構えることが明らかにされた。これらは地域に根付いたキャッシュレスの推進や海外展開を見据えた拠点拡大で、いろいろな地域の加盟店とキャッシュレスを推進していきたいという康井氏の言葉で戦略発表は締めくくられた。
信金中央金庫と地域事業者のキャッシュレスを推進
Origamiの戦略発表に続き、アライアンスパートナーによるOrigamiとの取り組みについての講演が行なわれた。まず登壇したのは信金中央金庫 専務理事の須藤浩氏。信金中央金庫は全国の信用金庫の中央銀行的な役割を担う金融機関で、261の信用金庫、7341店舗とつながっている。これはメガバンク3行の約3倍の店舗数となる。
須藤氏は、地域に根を張る信用金庫だからこそできる、地域にあった形でキャッシュレス化を進めていきたいと語る。その普及の鍵となるのが、地に足の付いた加盟店開拓であり、縁もゆかりもない土地で他の地域の企業がノックしても扉を開いてくれないが、地域に密着して活動している信用金庫だからこその信頼関係で実現していけるとコメントした。
また、地域の取り組みにOrigamiが加わることでのユニークな仕組み作りと、そこに信用金庫のローカルネットワークが加わることで、地域の活性化ができるという須藤氏。心のこもったサービスはネットだけでは無理であり、人と人、企業と企業のつながりから新しいものが生まれるとコメント。Face to Faceを大事にしている信用金庫とOrigamiが協力することで、いままでにないサービスやエコシステムが誕生させたいと語った。
銀聯国際とのアライアンスでグローバル加盟店ネットワークを拡大
今回発表された銀聯国際との提携では、Origamiが世界で利用可能な決済サービスとなる。カンファレンスでは銀聯国際のプロダクト責任者・総経理であるボミー・シェン氏が登壇し、Origamiが連携する海外市場について紹介した。
銀聯国際は70を超える国や地域で使える電子決済を提供している。30ヵ国2500万台以上のPOS端末でタッチ決済が利用でき、20ヵ国750万以上の加盟店で決済を利用できる。今回の提携によって、銀聯国際の加盟店でOrigamiが利用できるように進めており、これまで培ってきた長期的なシステム構築のノウハウや保守の経験、国際決済ブランドとしてのリスク保証などを連携できるとしている。
ボミー氏は、Origamiのオープン化戦略に対する考え方が銀聯国際とまったく同じであり、加盟店のロイヤリティー向上や、ユーザーへの付加価値の提供など、さまざまなサービスを協業していける可能性があるといい、日本における提携パートナーとしてOrigamiを見つけられたことをうれしく思うと、今回の提携についての感想を述べ、日本市場でのビジネスチャンスに期待していると、スピーチを締めくくった。
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