次世代ビジョン“Splunk Next”新製品もさらに追加、「Splunk TV」まで飛び出した3日目基調講演
産業IoTに自然言語応答も、Splunkが「.conf18」で製品領域を拡大
2018年10月05日 07時00分更新
Splunkが米国で開催中の年次カンファレンス「.conf18」。開催3日目となる10月3日に行われた基調講演では、前日の基調講演で発表された次世代テクノロジービジョン“Splunk Next”を構成する新製品群、そして産業IoT(IIoT)新ソリューションなど適用領域を拡大する追加発表が行われた。また導入顧客としてBMWが登壇し、機械学習技術を取り入れた予測アプリケーションの開発について紹介している。
“ビジネスユーザーにも使えるSplunk”を実現するための次世代製品群
前日の基調講演では同社の新しいテクノロジービジョンである“Splunk Next”と、それに基づく新製品群が発表されていた。ストリームデータを変換/分析する「Splunk Data Stream Processor」、数兆件規模のイベントログをミリ秒単位で検索する「Splunk Data Fabric Search」、モバイル機器からのSplunk製品へのアクセスを可能にする「Splunk Mobile」の3つだ。
3日目の基調講演ではさらに、Splunk Nextの新製品群として「Splunk Business Flow」「Splunk Natural Language」「Splunk Developer Cloud」の3つが追加発表された。いずれもベータ版プログラムの提供を開始している。
Splunk Business Flowは、ビジネスアナリストやプロダクトマネージャー向けの、カスタマー/ユーザー動向を分析/可視化するソリューションである。カスタマージャーニー全体を含むあらゆるビジネスプロセスの流れを可視化することにより、トレンドを容易に把握したり、スマートな判断を支援するものになるという。
Splunk Natural Languageは、Splunkに対して自然言語(音声やテキスト)で質問を行い、回答を得ることができるというソリューションだ。社内のエグゼクティブやビジネスユーザー、アナリストなど、技術に明るくないユーザーでもSPLやSQLといった言語を学ぶことなくクエリを実行できる。
またSplunk Developer Cloudは、Splunkアプリケーションの開発をクラウド上で学べる`開発者向けサービスである。次世代の“データリッチ”なアプリケーションを構築できるよう、サンプルコードからSDK、API、クラウドネイティブサービスまで、開発に必要なすべてのリソースにアクセスできる環境を用意するという。Splunkでは、さまざまな開発言語が使用できて柔軟性が高いこと、アプリ開発が効率化できることを強調している。
初の産業IoTデータソリューション「Splunk for Industrial IoT」
Splunk Next製品以外にも、いくつかの新製品が追加発表された。
まずは機械学習ツールの最新版「Machine Leaning Toolkit 4.0」だ。スケーラビリティやパフォーマンスの強化のほか、機械学習をより多くのユーザーが利用できる環境を提供する。また、オープンソースコミュニティとの連携を推進しており、「Apache Spark」や「TensorFlow」との接続機能、GitHub経由でのソースコード共有機能などを発表した。
Splunk初のIoTデータソリューションとなる「Splunk for Industrial IoT」も発表された。これはSplunk EnterpriseやSplunk Machine Learning Toolkit、そしてSplunk Industrial Asset Intelligence(IAI)の機能を活用し、産業IoTデータの収集と分析、監視、可視化を行うソリューションだ。製造、石油・ガス、電力、輸送、エネルギーといった産業のOT(Operational Technology)チームや組織に対し、マシンのダウンタイム最小化やプロアクティブな運用、コスト削減の手段を提供する。Splukにとって新たな顧客層となる、産業領域へのアプローチを進める製品と言える。
モバイルアプリやWebアプリの品質をモニタリングする「Splunk Insights for Web and Mobile Apps」(ベータ版)も追加された。これはアプリのクラッシュやエラー発生を監視し、開発者により根本的な問題解決を助けるためのソリューションだという。
PCなしの環境でもダッシュボードを画面表示できる「Splunk TV」
ここで導入顧客として、自動車メーカーのBMWがゲスト登壇した。BMWでは、前述したSplunk Machine Learning ToolkitやSplunk Natural Languageをすでに導入し、活用しているという。
BMWでは、気象データや交通量データなどを収集/分析し、機械学習技術も活用することで、ある道路における1週間後の交通量や渋滞などを予測するアプリケーションを開発した。機械学習の専門知識がなくても、Splunk Machine Learning Toolkitを使って容易に開発できたと説明した。さらに「Amazon Alexa」を使って、自然言語で「明日、一番渋滞する道路はどこか?」と質問し、Alexaが答えるというデモも披露した。
そしてもうひとつ、基調講演の最後に発表されたのが「Splunk TV」だった。
現在はベータ版として提供されているこれは、PCを利用する代わりに「Apple TV」を利用することで、Splunkで作成したダッシュボードをTV画面に表示できるというソリューションだ。これにより、PCが設置されていない環境でも各種データをモニタリングする環境が構築できる。
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2日間にわたる基調講演を通じて、「.conf」始まって以来最大となる多くの新製品が発表された。“Splunk Next”として発表された次世代製品を含むベータ版製品群も、過去に例がないほどの数となった。
また基調講演の中では、Splunkの開発エコシステムが拡大し、現在では40社のOEMパートナーから1800種類のアプリケーションが提供されていること、そのおよそ4分の1が新しい(Splunk独自の)アプリケーションであること、そのアプリケーションを1万6000社のユーザーが利用しており、ダウンロード実績は400万件に及ぶことも紹介された。
このように.conf18の基調講演は、Splunkのビジネスの広がりと力強い成長を裏付けるものになったと言えそうだ。