2019年1月には全機能が日本リージョンで利用可能に
Alibaba Cloudは“中国のクラウド”ではない、日本リージョンの全貌
2018年09月13日 13時00分更新
日中間の国際専用線接続サービス「ExpressConnect」
ExpressConnectは、Alibaba Cloudの日本リージョンと中国リージョンを専用線接続するサービスです。
Alibaba Cloudの代表的なユースケースとして、中国市場にビジネス展開する日本企業が、日本リージョンと中国リージョンにまたがって業務システムや自社サービス基盤を配置する利用方法があります。この際、中国から海外へのインターネット通信には制限があるので、業務利用にはVPNサービスを利用して国際間専用線接続する必要があります。
通常、国際間のVPN専用線接続サービスは開通までに時間を要しますが、ExpressConnectはAlibaba Cloudのサービスの1つなので即時に利用開始できるのが特徴です。
Oracle互換のマネージドDBサービス「PPAS」
Alibaba CloudのマネージドリレーショナルDBサービスApsaraDB for RDSは、Microsoft SQL ServerやオープンソースのMySQL、PostgreSQLのサポートに加えて、「PPAS(Postgres Plus Advanced Server)」を提供しています。PPASはOracle Databaseと高い互換性を持ち、オンプレミスのOracle環境をそのまま移行してOracleアプリケーションを直接実行できるように設計されたオープンソースのリレーショナルDBです。互換を事前チェックするADAM(Application and Database Migration)というツールを使って移行可能かどうかを確認することができます。
Oracle Databaseは、AWSやAzureのクラウド環境へ移行すると非常に割高になるライセンス体系になっています。Alibaba CloudのPPASへ移行すれば、安価に、マネージドで、Alibaba Cloudの正式サポートとSLAがある形で利用できます。
量子コンピュータ、ブロックチェーンなどの先端技術に大規模投資
-- Alibaba Cloudの料金体系を教えてください。
月額のサブスクリプションと、リソースを使った分だけ課金する従量課金の2パターンを用意しています。Alibaba Cloudは後発のパブリッククラウドなので、経営方針として他社のメガクラウトよりも1~2割安いプライシングをしています。ぜひ相見積もりをとって確かめてください。
--今後、Alibaba Cloudにどのような新機能が追加されるのでしょうか。
2017年のAlibaba Cloud年次イベント「The Computing Conference 2017」で、ジャック・マーは、今後3年で先端技術に1.5兆円投資すると述べ、量子コンピューティングや量子暗号化、BaaS(Blockchain as a Service)、AIなどの基礎研究を推進することを明らかにしています。近い将来、Alibaba Cloudのサービスとしてこれらの研究の成果が世に出てくるでしょう。
すでに中国では、Alibaba Cloudの機能をオンプレミスに展開してハイブリッドで使うソリューションや、スマートスピーカーも提供しています。
* * *
特集「躍進するAlibaba Cloud」、第1回目はAlibaba Cloudの日本リージョンにフォーカスした。次回以降は、中国および日本でのユーザー事例、アリババグループの本拠地・中国杭州で実践されているAI都市「ET Cityブレイン」の取り組み、9月19日から杭州で開催されるAlibaba Cloudの年次イベント「The Computing Conference 2018」の様子などを紹介していく。
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