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今年はクラウドネイティブなデータ処理やコンテナを活用、「ライブコマース」など購買行動の変化にも対応

流通総額7.7兆円! 中国「独身の日」の巨大ECを支えたアリババクラウド

2020年11月27日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 ブラックフライデー、サイバーマンデーを迎え、日本でもいよいよ年末商戦が始まったが、中国でネットショッピング市場が盛り上がるのは毎年11月11日、通称「独身の日」だ。“1(1人)”が並んでいるから独身の日で、「この日は自分自身にプレゼントを」とショッピングを楽しむ日になっている。

 その仕掛け役であるアリババグループでは毎年、独身の日に合わせて大規模なショッピングイベントを展開している。今年は4日間の開催で7兆7200億円もの流通総額となり、ピーク時には1秒間に58万3000件ものショッピングが行われた。そして、その膨大なトラフィックとトランザクションを支えたインフラがアリババクラウドだ。11月25日に開催された記者説明会では、コンテナアーキテクチャやクラウドネイティブなデータサービス、さらにAIなど、今年の独身の日を支えたテクノロジーが紹介された。

独身の日に合わせて「天猫ダブルイレブン・ショッピング・フェスティバル」を開催

アリババクラウド・ジャパンサービス インターナショナル ソリューション アーキテクトの奥山朋氏

およそ8億人が参加した巨大ECイベント、ただし「ダウンタイムの報告はなし」

 毎年11月11日に開催される「天猫ダブルイレブン・ショッピング・フェスティバル」は、アリババ傘下のマーケットプレイスに出店するEC事業者がセールを開催する大規模なイベントだ。今年は11月11日だけでなく11月1~3日にも日程を拡大し、参加したブランドは約25万社。そして、およそ8億人がオンラインショッピングを楽しんだ。

 中国の経済発展と消費者の高い購買意欲を受け、同イベントの流通総額は初回の2009年から右肩上がりの成長を続けてきた。今年はイベントが4日間に拡大したこともあり、昨年の4兆1600億円を大きく超える7兆7200億円に達した。2009年比で1500倍、10年前(2010年)と比べても530倍の規模だ。「これ(7兆7200億円)は、日本の大手ECサイト上位3社の年間流通総額を合計したものを上回る額」だと、アリババクラウド・ジャパンサービスの奥山朋氏は説明する。

 1秒間に58万3000件という買い物(注文処理)のピークは、イベントが始まった11日午前0時のわずか26秒後にやって来た。奥山氏によると、多くの消費者は事前にお目当ての商品をショッピングカートに入れており、イベントがスタートすると一斉に購入ボタンを押す。そのため、開始直後に処理が集中するのだという。ECサイトの世界では、注文処理数が秒間1万件を超えると特別なアーキテクチャが必要になると言われるそうだが、アリババはその60倍近くをサポートできたことになる。

2013年から今年までの、流通総額とピーク秒間注文処理数の伸び

 さらにイベント期間中、分散データストリーム処理エンジンの「Apache Flink」を土台としたプラットフォームで処理したデータストリーム件数は、ピーク時で秒間40億件近くに達した。アリババのデータウェアハウス(DWH)サービス「AnalyticsDB」がリアルタイム処理したデータ量は7兆7000億行、またビッグデータ処理プラットフォーム「MaxCompute」では、1日で最大1.7エクサバイト(1700ペタバイト)のデータを処理した。

 まさに“ケタ違い”の規模だが、アリババのプラットフォームが高い拡張性と信頼性、処理能力を実現し、「ダウンタイムの報告はなかった」と奥山氏は語る。

 消費者のオンライン購買行動も変化している。今年の独身の日では、販売スタッフがライブ動画で商品を紹介する“ライブコマース”などの新しいECサービスも利用者を増やした。9000人がライブコマース配信を行い、世界中から800万人が視聴した。ここでも大規模アクセスに対応するCDN、リアルタイムメディア処理による使用帯域の削減(20~30%)といったインフラ技術が用いられた。

 さらに、家具や家電といった商品を3Dモデリングして、簡単にバーチャルショールームを構築できるサービスの利用も増えたという。3Dモデリングサービスやクラウドレンダリングサービスの提供により、これまで3時間かかっていた3Dモデリングが10秒で済むなど、時間と手間を大幅に削減。これにより、今年は10万のバーチャルショールームが立ち上がり、6000万人がアクセスしたという。

ライブコマースやバーチャルショールームなど、新しい購買行動にも新しいテクノロジーを提供し対応

クラウドDB/DWHやコンテナから、バーチャル店員、ライブコマースのリアルタイム翻訳まで

 この巨大なショッピングフェスティバルを支えるうえで重要な役割を果たしたのが、アリババクラウドが提供する各種クラウドネイティブなサービスだ。リアルタイムデータ分析を得意とするAnalyticsDBが7兆7000億行を処理したことはすでに触れたが、ほかにもアリババが独自開発した分散リレーショナルデータベース「PolarDB」では、昨年より60%も高速なピーク時1億4000万クエリ/秒の処理を実現した。

クラウドネイティブなデータベース/DWHも活躍、昨年よりも大幅にパフォーマンスを向上している

 またコンテナも重要な技術だ。昨年(2019年)の独身の日では、アリババの基幹システムをすべてクラウド移行したが、今年はそれらの基幹システムをすべてクラウドネイティブ化し、そして主要システムの80%がコンテナアーキテクチャで実装されたという(なおアリババクラウドはKubernetesサービスの「ACK」も持つ)。これにより、たとえばアクセスのピーク時には1時間以内に100万コンテナまでスケールアウトして大量のリクエストを支えるなど、多くのメリットが出ていると奥山氏は語る。さらに、システム全体の稼働を1画面で管理できるようにしており、「ボトルネックがあればすぐに見つけて適切な対処を行うことができた」と述べる。

 「これまではモノリシックな巨大で単一のプラットフォームだったが、これを分散させてマイクロサービス化し、プラットフォーム自体もコンテナアーキテクチャを採用した。これにより、性能、信頼性、冗長性などを拡張できた」(奥山氏)

主要システムの80%をコンテナアーキテクチャで実装し、ピーク時のスケーラビリティや信頼性を確保した

 中国はAI活用が進んでいることでも知られるが、アリババでも2017年に立ち上げた先端技術の基礎/応用研究プログラム「DAMO Academy」において、AIをはじめとするさまざまな技術の研究開発を進めている。今年の独身の日でも、いくつかの技術が実験的に使われたという。

 たとえば浙江大学キャンパス内では、自律型配送ロボット「XiaomanLV」による自動配送が行われた。これはクラウドベースのAI(経路最適化)とエッジAIコンピューティング(安全な自動走行)を組み合わせ、配送時間の短縮や配送コストの削減を実現するロボットだ。また仮想店舗においては、自然言語処理や音声認識、クラウドレンダリングの技術を用いて、24時間365日休むことなくインタラクティブな応答ができるアバター(バーチャルキャスター)が商品紹介のライブストリーミングを実施。

 海外向けの小売マーケットプレイス「AliExpress」では、DAMOが開発する音声モデルを利用して、ライブコマース出店者のストリーミングをリアルタイムで翻訳/字幕化し、海外の消費者への販売を支援した。イベント期間中、Ali Express出店者の70%がこの機能を活用した。こうして開発/実証した技術は、アリババクラウドのマネージドサービスとして順次提供していく計画だという。

配送ロボット、バーチャルキャスター、ライブコマース自動翻訳など、先進的な技術も多数投入した

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