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バックアップ/セカンダリデータの“サイロ化”解消するHCI型統合基盤製品を国内企業に展開

「日本市場でNo.1を」Cohesityとソフトバンクが合弁会社

2019年03月22日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米Cohesity Inc.(コヒシティ)とソフトバンクは2019年3月20日、日本市場向けにデータインフラ製品を提供する合弁会社「Cohesity Japan」を設立し、事業の本格展開を開始したことを発表した。企業が抱える大量の“セカンダリデータ”を統合/保存/管理/分析できるCohesityのテクノロジーとソリューションを、販売パートナー各社を通じて国内企業に広く展開していく。

 同日の発表会には、Cohesity Japanの代表取締役に就任した江尾浩昌氏、ソフトバンクで法人事業戦略本部 本部長を務める藤長国浩氏が出席し、現在の企業が抱えるセカンダリデータの課題とCohesityのソリューション、さらに合弁会社設立の背景や日本市場への期待などを語った。

Cohesityはオンプレミス/クラウドのセカンダリデータに対する統合プラットフォームを提供する
Cohesity Japan 代表取締役の江尾浩昌氏(左)、ソフトバンク 常務執行役員 法人事業統括 法人事業戦略本部 本部長/Cohesity Japan 取締役の藤長国浩氏

「データの持つ価値を引き出し、日本企業のDXを促進」という共通ビジョン

 Cohesityは2013年6月に米国で設立された新興企業。同社 創業者兼CEOであるモヒット・アロン(Mohit Aron)氏は、2009年にNutanixを共同創設した人物であり、グーグルで大規模分散ファイルシステム(Google File System)の開発プロジェクトを率いた経験も持つ。Cohesityは日本を含む30カ国で事業展開しているが、海外子会社の設立は今回が初めてとなる。

 もともと米Cohesityにはソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資していたが、ソフトバンクではそのソリューションが日本市場において大きなインパクトを持つものと判断し、今回あらためて共同出資するかたちでCohesity Japanが設立された。なお両社の出資額や出資比率は公表されていないが、江尾氏によると米Cohesityのほうが出資比率が高い。

 Cohesityが開発/提供するのは、ハイパーコンバージド型の統合セカンダリストレージ製品だ。物理アプライアンスや仮想アプライアンスの形態で提供されている。具体的には、ファイル共有やバックアップ/アーカイブ、テスト/開発用データなど、これまで企業内のさまざまなセカンダリストレージに分散する形で保存されていたデータ(セカンダリデータ)を一カ所に統合し、効率的な保存/管理/分析/再利用を可能にするもの。ノードを追加するだけで簡単にスケールアウトできるスケーラビリティ、バックアップサーバーなどのアプリケーションも同じ筐体上に収容できるシンプルな構成が特徴だ。

Cohesityの物理アプライアンスと管理ダッシュボード。社内にあるセカンダリデータを統合して一元的に可視化し、効率的な保存/管理/分析/再活用を促す

 江尾氏は、ときには数ペタバイトクラスにもなる大量のセカンダリデータが“サイロ化”した状態で企業内に存在する一方で、そうした実態が不可視であり、システム的にも複雑化しているために、企業もITベンダーも「これまで手を着けてこなかった」と指摘する。そして企業のクラウド導入が進む中で、こうしたセカンダリデータのサイロ化はさらに悪化している。

マルチクラウドの利用浸透により、セカンダリデータのサイロ化はさらに複雑な問題となっている
日本の大手企業100社を対象とした調査結果より。セカンダリデータが断片化(サイロ化)しており、長期的には「管理が不可能になる」と考える企業が9割以上。さらにコンプライアンスやインサイト欠如、IT予算の無駄などの問題も予想されている

 この領域に対し、セカンダリデータの統合やシンプルな運用管理、可視化が可能なプラットフォーム製品を投入し、データの再利用やインサイト獲得を促すことで「重い負債となっていたセカンダリデータを、ビジネスの『貴重な資源』に変える」(江尾氏)ことを狙うのが、Cohesityのソリューションである。

 「セカンダリストレージ市場はまだ新しい市場だが、一説には600億ドル規模だと言われる。ただし、既存のベンダーはそれぞれ得意領域を持ち、そこだけをカバーしている。Cohesityの場合は、広範なその領域全体をカバーすることができる」(江尾氏)

 江尾氏は、Cohesityとソフトバンクの両社は「セカンダリデータとアプリケーションが持つパワー」を引き出し、日本企業の“情報革命”をさらに促進していくというビジョンを共有していると説明。そのために、Cohesityのソリューションを通じてデータインフラ周りの問題を解消し、日本企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)やイノベーションの実現を支援していく方針だと説明した。

“国内第一号顧客”のソフトバンク、通信/クラウドとのパッケージサービスも

 ソフトバンクの藤長氏は、通信/クラウドサービスを主軸に全国およそ40万社の顧客を抱えるソフトバンクの法人向け事業について紹介するとともに、Cohesityビジネスの見通しを語った。

 ソフトバンクの法人向けビジネスでは、あらゆる産業を「再定義」するような革新的な企業への出資、提携を進め、顧客に提供してきた。そこではまずソフトバンク自身が自社導入を行い、ノウハウと知見を蓄積したうえで顧客企業に展開していくというスタンスを取っている。藤長氏は、営業iPad導入、全社でのG Suite導入、社内業務へのIBM Watson適用といったこれまでの例を挙げる。

ソフトバンクではまず自社導入でノウハウを蓄積し、その知見に基づいて顧客企業への展開を進めるアプローチを取ってきた

 Cohesityのセカンダリデータソリューションも同様に、自社導入によってノウハウを蓄積してきた。昨年10月のCohesity国内販売開始発表で触れられていたとおり、ソフトバンクはCohesityの“国内第一号顧客”である。藤長氏は、具体的には社内ITの仮想マシン(VM)をバックアップするために、3つのデータセンターにCohesityアプライアンスを導入し、VMバックアップを「完全自動化」したことを紹介した。現在は500TB程度の容量だが、今後もVM数の拡大に追随するかたちで、Cohesityの容量をスケールアウトさせていく計画だという。

ソフトバンクではCohesityを社内ITの仮想マシン(VM)バックアップ用に採用している

 Cohesityを用いた今後のサービス計画として藤長氏は、「Google Cloud」や「Microsoft Azure」と閉域網でダイレクト接続できる同社ネットワークのメリットを生かし、ネットワークサービスとCohesityのバックアップ、あるいは同社クラウドサービスとCohesityバックアップといったパッケージ商品として、国内企業に販売していきたいと語った。

 なお、Cohesity製品の国内ディストリビューターはSB C&Sとネットワールド、またリセラーはソフトバンクとCTCが担う。加えて、グローバルOEMパートナーであるシスコシステムズ、日本ヒューレット・パッカード(HPE)についても、各社サーバーにCohesityのソフトウェアを統合したOEM製品を順次国内展開していくという。

 江尾氏は、IT化が遅れている日本企業と日本市場の課題も指摘しながら、Cohesity Japanのミッションとして、変革の進んでいないセカンダリデータ(特にバックアップ)市場のハイパーコンバージド化を促進し、国内市場の同分野で「マーケットシェアNo.1を取りたいと考えている」と抱負を述べた。今後、新規販売パートナー募集の説明会を開催するほか、クラウド版製品の1年間無償キャンペーン、初期トライアル顧客向けのファイナンスプログラム(いずれも社数制限あり)などを展開していく。

江尾氏が説明した「日本企業のIT化の遅れ」という社会課題と、Cohesity Japanのミッション

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