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SORACOM AirのLTE-M版やAWS IoT 1-Clickデバイス、KやLのサービスも登場

事例もサービスも進化し続けるソラコムが最新動向を披露

大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 2018年7月4日、IoTプラットフォームを展開するソラコムは「SORACOM Conference "Discovery" 2018」を開催。登録人数で3000名を数えたというイベントの基調講演では、SORACOM Air for セルラーのLTE-M版やAWS IoT 1-Click対応のボタンデバイス、SORACOM KryptonやLagoonなどの新サービス・製品を一気に発表した。

初対面から62日間で製品に至るソラコムのスピード感

 3回目となるSORACOM Conference "Discovery"の基調講演に登壇したソラコム代表取締役社長の玉川憲氏は、2015年の起業やSORACOMサービスの開始、約30億円の資金調達と海外展開、そして2017年のKDDIグループ入り前の沿革を説明。11種類のサービス、1万を超えるユーザー、460社のパートナーなどの数値を示し、「これらはすべて3年間で起こったこと」と事業展開のスピードをアピールした。

ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏

 サービス開始から3年を迎え、「動態監視」「遠隔監視」「スマートホーム」「決済端末」などの分野で、多くのユーザー事例も生まれている。

 玉川氏は、物流倉庫内のパレットの混雑度をSORACOMで可視化した日本郵便、鉄道冷凍コンテナの位置やステータスを管理・制御した日本石油輸送、スポーツジム内のタオルの改修状況をSORACOMで把握する東急スポーツオアシス、病院の医療ガス設備の遠隔監視を実現した豊田若竹病院、ホテルや病院の配車タブレットにSORACOMを使ったJapan Taxiなどの最新事例を披露。スタートアップの事例も披露され、600は無人コンビニでのクラウド連携、ユニファは子どものうつぶせ監視、デザミスは牛の活動データと飼育記録に、それぞれSORACOMを用いているという。

 また、同社が「Pace Of Innovation」と呼ぶ、顧客ニーズに基づく機能強化も2週間に1回の単位で着々と進められており、現在までに86個の機能が提供されているという。玉川氏は、「だいぶできることが増えてきた。お客様の要望にかなり応えられるようになった」とアピール。同日にはCHAP認証が追加され、ユーザーアカウントやパスワードの事業者側での設定が容易になった。特に自由度の高いグローバルSIMには日本国内より最先端のテクノロジーがふんだんに盛り込まれており、グローバル向けのplan01sでUSSDを用いた電話回線による設定も可能になった。

進化の速いグローバルSIM

 こうしたグローバルSIMの事例としては、エレベーターの遠隔監視にSORACOMを正式採用したフジテックのほか、不動産売買物件の鍵施錠やライト・室温の監視を可能にしたOpenDoor、養蜂場の蜂の巣センサーを展開しているNectarなどの事例が紹介された。また、ヒット商品となった翻訳デバイス「POCKETALK(ポケトーク)」でSORACOMを採用したソースネクスト代表取締役社長 松田憲幸氏が登壇し、製品のインパクトや開発の舞台裏を披露した。

ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏

 世界105ヶ国・地域で63言語以上の翻訳が可能な翻訳デバイスとして、多くのメディアに取り上げられる人気商品になったPOCKETALKだが、「昨年10月に安川CTOとパロアルトでランチして以降、10日後には共同開発を表明し、62日間で製品販売までこぎつけた」(松田氏)というスピード開発だったという。松田氏は、「CTO自らコーディングまで手がけてくれた」というソラコムに謝辞を述べるとともに、「これからもソラコムと新しい製品を手がけていきたい」と今後の製品開発にも期待を持たせた。

KDDIのLTE-Mに対応した4番目のSORACOM Airが登場

 続いて玉川氏が「Wireless Agnostic」というタイトルで語ったのは、さまざまな無線テクノロジーへの対応になる。3G/4Gのセルラー通信からスタートしたSORACOM Airだが、早い段階からLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれるIoT向け通信規格にも注力しており、LoRaWANやSigfoxにもいち早く対応してきた。実際、パナソニックと大林組は横浜市綱島における環境センシングでLoRaWANを採用しているという。

 こうしたネットワーク分野での取り組みを始め、「日本初のIoTプラットフォーム構築へ」というタイトルでソラコムとの幅広い取り組みについて説明したのがKDDIの藤井彰人氏だ。

KDDI 理事 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長 藤井彰人氏

 2017年8月にKDDIグループ入りして以来、ソラコムとKDDIは「IoTビジネスの創出」「IoTプラットフォーム」「グローバル展開」「次世代ネットワーク技術」の4つの分野でシナジーを高めてきたという。第一弾となった「SORACOM IoT Fund Program」ではいち早くIoT向けのコンテナサービスを展開するResin.ioに投資し、KDDI回線を用いたSORACOM Air for セルラーのplan-K」も開始している。今回はKDDIが展開する「IoT世界基盤」の構想にソラコムが参画し、世界各国のKDDI現地法人とソラコムが連携していくことも発表された。まずは北米と東南アジアからスタートし、順次拡大していくという。

KDDIなどが推進する「IoT世界基盤」の構想にもソラコムが参画する

 また、「クラウドだけではなく、ネットワークの世界でも5GやIoTに向けた技術革新が起こっている」とアピールした藤井氏は、省電力・広域・低価格を謳うKDDIのLTE-M Cat.M1に対応した「SORACOM Air for セルラー plan-KM1」について説明した。

 NTTドコモ回線の「plan-D」、KDDI回線の「plan-K」、グローバル向けの「plan01s/plan01s-LDV」に引き続き、4番目となるSORACOM Air for セルラー plan-KM1では、3GPPリリース13に基づく標準規格であるLTE-M Cat.M1を採用。単3電池2本で10年を謳う低消費電力を実現するeDRX(extended Discontinious Reception)とPSM(Power Saving Mode)、広域なエリアカバレッジを実現するカバレッジ拡張技術(Coverage Enhancement)により、既存のLTEに比べて消費電力を抑えられる。

 plan-KM1の契約事務手数料は1回線あたり1500円で、基本料は100円/月、データ通信量は0.5円/KB(すべて税別)。SMSや音声通話は非対応。KDDIのLTE-Mのサービスエリアにおいて1回線から利用でき、国内向けのSORACOMの各種サービスを利用できるという。提供開始は2018年9月を予定している。

KDDIのLTE-M回線を用いたplan-KM1の概要

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