前回、前々回とインテルのロードマップをお届けしたので、今回はAMDのロードマップを解説しよう。とはいえ、すでにCOMPUTEXでの中山智氏のレポートが掲載されており、基本的にはここから外れた話はないのだが、復習の意味でまとめておきたい。
第2世代Ryzen Threadripperを
第3四半期に発売
デスクトップ向けプロセッサーで今年発売予定なのは以下の製品までで、Globalfoundriesの12nmを利用したRaven Ridgeの後継に位置づけられているPicassoに関しては2019年投入の予定になっている。
- ZenコアベースのRaven RidgeことRyzen APU(発売済)
- Zen+コアベースのPinnacle Ridgeこと第2世代Ryzen(発売済)
- Zen+コアを利用した第2世代Ryzen Threadripper
- Zen+コアを利用した第2世代Ryzen Pro
また7nmを利用するZen2コアをベースとしたMatisseや、これを複数ダイ集積した(Threadripper路線の)Castle Peakなども全部2019年送りとなっており、今年のAMDのコンシューマー向け新製品としては第2世代Ryzen Threadripperが唯一残されたものとなる。
さてその第2世代Ryzen Threadripperだが、中身は下の写真のとおり。写真からの推定なので多少誤差があることを前提にすれば、4つのダイの寸法は23.5×9.0mm程度となり、およそ211.5mm2となる。
AMDは正確なRyzenのダイサイズは公表していないが、213mm2と伝えられており、Zen+もZenとまったく同じ寸法という話なので、ほぼこれに合致していると思われる。
EPYCと同じく最大4つのダイが
1つのパッケージに載る
さて、ここからは中山氏のThreadripperレポートにない話を以下にまとめておく。
- ハイエンドは32コア/64スレッドの構成となるが、当然その下の構成も用意される。
- そもそも第2世代Ryzen Threadripperは既存のRyzen Threadripperの置き換えではなく、上位モデルとして追加される。
- 既存のSocket TR4は最大250WのTDPまでをサポートしており、第2世代Ryzen Threadripperもこの範囲で動作する。したがって既存のマザーボードは(BIOSアップデートさえすれば)第2世代Ryzen Threadripperをそのまま使える。逆にこれが理由で、第2世代Ryzen Threadripperにあわせて新チップセットは投入しない。引き続き既存のX399がハイエンドチップセットという扱いになる。
まずラインナップ。従来のRyzen Threadripperは、「公式には」2つの稼動ダイ+2つのダミーダイの構成だった。これは機械的なバランスを取るため、というのがAMDの説明であった。
「公式には」と書くのは、Ryzen Threadripperのダイを削って、4つのダイがいずれも同じ構成であることを確認したというご苦労なユーザーがおられるからだが、これは必ずしも4つの稼動ダイが載っているとは限らない(ダミーダイはテストで撥ねられた欠陥品の可能性もある)わけだが、第2世代Ryzen ThreadripperはEPYCと同じく「最大」4つのダイが1つのパッケージに載ることになった。
ただEPYCもさまざまなコア数の製品が提供されるのと同じように、第2世代Ryzen Threadripperでもたとえば28/24/20コアなどの製品がありえる(具体的なラインナップは現時点では未公表)。たとえば24コアであれば3つの稼動ダイ+1つのダミーダイという可能性はあるわけだ。
このあたりをJames Prior氏にぶつけてみたところ「Possibly」という返事があった。ちなみに「そういう構成かもしれないねぇ」という、要するに正確なことは言えないよ、という意味である。ただ後述の理由で、現実的には可能性は低いと思われる。

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