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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第564回

公園猫「チロ」との思い出写真

2018年06月16日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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寒かったからか膝に乗ってきた「チロ」を左手で撫でながら右手でムリヤリ撮った1枚。人なつこい猫でありました(2012年12月 オリンパス XZ-2)

寒かったからか膝に乗ってきた「チロ」を左手で撫でながら右手でムリヤリ撮った1枚。人なつこい猫でありました(2012年12月 オリンパス XZ-2)

 都内のとある公園に「チロ」と呼ばれる猫がいたのである。

 古い写真をあさったら、最初に撮ったのが2007年だったので、その頃やってきたのだ。

 その数年前から公園で地域猫の世話をしている猫ボランティアさんと顔なじみになり、頻繁に通っていたのでまず間違いない。いつの間にか彼女によってチロと名づけられたその猫は、やたら人なつこく、誰に抱っこされても抵抗することがないほどなのだった。

 何らかの事情で捨てられたのだろう。ひどい話である。

 ベンチに座って抱き上げると、いつの間にかそこで寝ちゃうほどなのだ。

人の膝の上で無防備な姿で寝ちゃったチロ。いくらなんでも無防備すぎだろ、外の世界で生きていけるのか、と皆で心配していた頃だ(2007年12月 ソニー Cyber-shot T2)

人の膝の上で無防備な姿で寝ちゃったチロ。いくらなんでも無防備すぎだろ、外の世界で生きていけるのか、と皆で心配していた頃だ(2007年12月 ソニー Cyber-shot T2)

 このチロ、何しろ好奇心旺盛で、好奇心は猫を殺すというけれども、人なつこくて何かあるとすぐ近寄っていくという、外で生きて行くにはちょっとリスクが大きな性格だったのだ。

公園の水飲み場。蛇口をちょっと捻ってやると、水が気になってしょうがないようで、ちょっかいをかけてた(2007年12月 ニコン D40X)

公園の水飲み場。蛇口をちょっと捻ってやると、水が気になってしょうがないようで、ちょっかいをかけてた(2007年12月 ニコン D40X)

 岩場を歩いてるな、と遠くから撮影してたら、いきなり草にぶつかってのけぞったときはおかしかった。何をしたかったのか今だによくわからない。

歩いてて草にぶつかった瞬間のチロ。このポーズが面白くてお気に入り(2008年3月 ソニー α350)

歩いてて草にぶつかった瞬間のチロ。このポーズが面白くてお気に入り(2008年3月 ソニー α350)

 しょっちゅうカラスにからかわれてたのもチロらしかった。

 鳥を見るとじーっと狙って、飛びかかっては逃げられるのが日課のようなものだったが、カラスが相手だと勝手が違う。

 チロが歩いているとその後ろをカラスがトントンとついていき、チロが気づいて振り向くとダッと逃げるのである。

 明らかにカラスに遊ばれてて、ときどき顔に傷を作ってくるのだが「ああ、カラスと喧嘩して負けたんだね」とみなに噂されてたほどだ。

後ろからついてきたカラスに気づき、振り返って襲おうとした瞬間。でもカラスの方が一足早いのであった。こんなシーンがよく見られたものである(2010年5月 ソニー Cyber-shot HX5V)

後ろからついてきたカラスに気づき、振り返って襲おうとした瞬間。でもカラスの方が一足早いのであった。こんなシーンがよく見られたものである(2010年5月 ソニー Cyber-shot HX5V)

 そんなんだから生傷が絶えなくて、ときどき顔を傷だらけにして現われては心配をかけてたものである。

傷だらけの痛々しい顔で現われたチロ。一体何があったのかわからないけど、生傷が絶えない猫だったのである(2013年7月 オリンパス OM-D E-M5)

傷だらけの痛々しい顔で現われたチロ。一体何があったのかわからないけど、生傷が絶えない猫だったのである(2013年7月 オリンパス OM-D E-M5)

 でも、大怪我をすることも事故に合うこともなく、のほほんと生きていたのは偉い。

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