さとうなおきの「週刊アジュール」 第37回
「Build 2018」アップデート アプリ開発編:Azure Kubernetes Serviceが機能拡張
ブロックチェーンアプリ構築ツール「Azure Blockchain Workbench」登場
2018年05月21日 13時00分更新
Azure Functions:Durable FunctionsがGA、Application Insights統合強化、App Service Diagnostics
Azure Functionsは、サーバーレスアーキテクチャのFaaS(関数サービス)です。
Azure Functionsは、短時間に実行が完了する関数を実行します。Azure Functionsの拡張機能である「Durable Functions」では、C#コードを使って、長時間実行されるステートフルな関数のオーケストレーションを構築できます。これによって、複雑な関数チェーン、ファンイン/ファンアウト、ステートフルアクター、長時間コールバックといった、Azure Functionsだけでは不可能だったシナリオを実装できるようになります。
Durable Functionsは、2017年10月にパブリックプレビューになっていました。
今回、Durable FunctionsがGAになりました。
また、C#ではなくJavaScript(Node.js)でDurable Functionsを開発できる「Durable Functions for Node.js」が、パブリックプレビューになりました。
Azure FunctionsのAzure Application Insightsとの統合が、さらに強化されました。Azure Functionsの関数アプリを作成すると、既定で対応するAzure Application Insightsインスタンスも作成されるようになりました。Azure Portal内のAzure Functionsの監視ブレードが、新たにAzure Application Insightsベースになりました。
前述のAzure App Serviceの新機能としても紹介しましたが、App Service Diagnostics(App Service診断)を使ってAzure Functionsを診断できるようになりました。
詳細は、ブログポスト「Azure Functionsでサーバーレスの障壁を打ち破る」をご覧ください。
Azure Event Grid:東日本/西日本リージョンで利用可能に
Azure Event Gridは、イベントルーティングサービスです。
Azure Event Gridが、東日本、西日本リージョンで利用可能になりました。
今月発表されていたイベントデータ記述のための仕様「CloudEvents」のサポートに加えて、任意のカスタム入力スキーマをEvent Gridスキーマに変換できる「入力マッピング」がサポートされました。
Azure Event Gridのイベントソースとして、2月にサポートされたAzure Service Busに加えて、Azure Media Servicesがサポートされました。また、数週間以内に、Azure Container Registryのサポートも追加される予定です。
Azure Event Gridのイベントハンドラーとして、Azure Queue Storage、Azure Relay Hybrid Connectionsがサポートされました。
Azure Event Gridの管理SDK、クライアントSDKとして、既存の.NET、Go、Node.js、Python、Ruby向けのSDKに加えて、Java向けのSDKがリリースされました。
Webhookエンドポイントの登録時に行われる検証で、送信されたPOSTリクエストに検証コードで応答する従来の方法に加えて、検証URLにGETリクエストを送信する新しい方法が追加されました。これによって、IFTTTなどのサードパーティーAPIサービスとの統合が可能になります。
Azure Portalで、サーバーレス系サービス(Azure Functions、Azure Logic Apps、Azure Event Grid)がサポートするイベントソースの画面から、簡単にこれらのサービスを新規作成できるようになりました。
詳細は、ブログポスト「Azure Functionsでサーバーレスの障壁を打ち破る」、「Better integrations and higher productivity with Azure Event Grid」をご覧ください。
Azure Service Fabric:サーバーレス機能「Service Fabric Mesh」、Azure DevOps Projectsなど
Azure Service Fabricは、Windows Server/Linux上で動作するマイクロサービス・プラットフォームであり、コンテナーオーケストレーターでもあります。
サーバーレス機能「Service Fabric Mesh」が発表されました。現在、プライベートプレビュー中であり、数週間以内にパブリックプレビューが始まる予定です。
Service Fabric Meshは、Windowsコンテナー、Linuxコンテナーをサポートしており、秒単位の従量課金で料金が発生します。Service Fabric Meshを使うと、Azure Service Fabricの信頼性、パフォーマンス、スケールの利点を享受しつつ、自分でService Fabricクラスターを管理する必要はなくなります。
4月にリリースされたAzure Service Fabric 6.2に続き、今後、Azure Service Fabric 6.3がリリースされる予定です。Azure Service Fabric 6.3では、Service Fabricクラスター、Service Fabric Mesh向けの統合された開発エクスペリエンスが提供されます。シークレット管理、分離ネットワークなどの機能拡張もあります。
今後、Azure Portal、Azure CLIを使って、オンプレミスのService Fabricクラスターを作成、管理する機能が提供される予定です。
今後、Azure IoT Edgeデバイス上で、Azure Service Fabricがサポートされる予定です。
詳細は、ブログポスト「Azure Service Fabric at Microsoft Build 2018」をご覧ください。
Azure DevOps Projectsは、好みのプログラミング言語で開発するWebアプリケーションに対して、Azure App Service(Web Apps、Web App for Containers)などの実行環境、Visual Studio Team Services(VSTS)上のGitリポジトリやCI/CDパイプライン、Azure Application Insightsによる監視といった、DevOpsのサイクルに必要なすべてを自動的に構成してくれるサービスです。Azure DevOps Projectは、現在パブリックプレビュー中です。
今回、Azure DevOps Projectsで、Azure Service Fabricがサポートされました。
Azure API Management:5月11日のリリースノート
Azure API Managementは、既存のAPIに対するAPIゲートウェイのサービスです。
4月18日のリリースノートに続いて、Azure API Managementの5月11日のリリースノートが公開されました。いくつかの新機能や修正があります。
詳細は、ブログポスト「Azure API Management Release notes – May 11, 2018」をご覧ください。
Azure SignalR Serviceを発表
新サービス「Azure SignalR Service」のパブリックプレビューが発表されました。
SignalRは、リアルタイム機能を提供する人気の高いASP.NETライブラリです。
従来は、SignalRをスケーリングさせるためには、SQL Server、Azure Service Bus、Redisなどを使う必要がありました。Azure SignalR Serviceを使うと、こういったバックエンドの管理をすることなく、SignalRをスケーリングさせることができます。
詳細は、ブログポスト「Azure SignalR Service, a fully-managed service to add real-time functionality」、ドキュメントをご覧ください。
Visual Studio App Center:GitHub統合
Visual Studio App Centerは、iOS、Android、Windows、macOSアプリケーションのビルド、テスト、配布、監視のためのサービスです。
Visual Studio App CenterのGitHubとの統合がサポートされました。GitHubリポジトリ上のモバイルアプリケーションのソースコードに対して、Visual Studio App Centerによるビルド、テスト、配布が可能になります。
詳細は、ブログポスト「New Integrations for GitHub Developers」、「Microsoft and GitHub Present: A Solution for Mobile CI」、記事「『Build 2018』特別号外:1日目基調講演のAzure新発表まとめ」をご覧ください。
Azure Application Insights:Profiler、Snapshot Debuggerの機能強化
Azure Application Insightsは、APM(アプリケーションパフォーマンス監視)ツールです。
アプリケーションのプロファイリング、デバッグのためのAzure Application InsightsのProfiler、Snapshot Debuggerで、いくつかの機能強化が行われています。
詳細は、ブログポスト「Enhancements in Application Insights Profiler and Snapshot Debugger」をご覧ください。
Azure Resource Manager:Terraformリソースプロバイダー
Azure Resource Manager(ARM)は、Azure上のリソースのデプロイや管理のためのレイヤーです。
Terraformリソースプロバイダーのプライベートプレビューが発表されました。
Azureの様々なサービスは、それぞれがAzure Resource Manager向けのリソースプロバイダーを提供しています。Azure Resource Managerは、リソースプロバイダーを介して、各サービスのインスタンスを「リソース」として扱うことができます。
今回リリースされたTerraformリソースプロバイダーを使うと、たとえば、Azure Kubernetes Service(AKS)リソースプロバイダーを介してKubernetesクラスターを作成し、Terraformリソースプロバイダーを介してそのKubernetesクラスター上にポッドやサービスを作成するARMテンプレートを作成できます。
現時点では、Terraformリソースプロバイダーは、TerraformにおけるプロバイダーとしてKubernetes、Cloudflare、Datadogをサポートしています。今後、さらなるTerraformプロバイダーがサポートされる予定です。
詳細は、ブログポスト「Introducing the Azure Terraform Resource Provider」をご覧ください。
データ編に続きます。
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