国内におけるゲーム実況・配信シーンは、ツールの進化や普及、簡素化により何度目かのブームが到来中だ。おそらく最初となる超ローカルブーム時を体験している(PeerCast民)筆者としては「すっごい楽」と思うばかりなのだが、魅せるフォーマットが定まってくると、クオリティーを高めたくなるのが世の常。細かい技術を覚えたり、いくつものアプリケーションを導入すると難易度は上昇してしまいがちだが、そのあたりをなるべく手軽に済ませつつ、高画質での配信が可能なキャプチャーデバイスが、AVerMediaの「AVT-C878 PLUS」だ。
PCと接続しても、単体でも使える取り回しの良さが○
AVT-C878 PLUSは、基本的にはPlayStationなどのゲーム機、PC、スマホなどのゲームプレイ映像をPCに取り込むためのデバイスだ。USBケーブルでPCと接続するだけで使える手軽さはもちろん、後述するように、PCに接続しなくても画面の録画が可能と、利便性は非常に高い。USB 2.0接続であるため、大半の環境で安定動作を見込めるほか、ゲーミングノートPCでも推奨環境が比較的ゆるめで導入しやすい。なお、推奨環境は次の通りだ。
デスクトップPC向け推奨環境 |
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CPU:Core i7-3770以上/GPU:GeForce GTX 650、Radeon R7 250X以上/メモリー:4BG以上 |
ノートPC向け推奨環境 |
CPU:Core i7-4710HQ/GPU:GeForce GXT870M/メモリー:16GB以上 |
簡単に言えば、CPUとGPUについてはゲーミングPCならそこそこ古いものでもOKだ。ノートPC推奨環境ではメモリー容量の要求が少し高めとなっているが、これはノートPC向けGPUがビデオメモリーをメインメモリーと共有する場合があるためと思われる。2016年以降は独立したビデオメモリーを備えるMXMタイプのGPUが増えており、その場合はPCのメインメモリー容量が8GB以上であれば問題なさそうだ。録画に関してはストレージ容量を必要とするが、USB 2.0の転送速度に耐えればいいため、外付けストレージやNASでも十分。順次書き込みで15~20MB/sほどが確保できていればOKだ。
AVT-C878 PLUSとPC、ゲーム機、ディスプレーの接続は非常にカンタン。まずはPCにAVT-C878 PLUS本体のUSBケーブルを接続し、ゲーム機からの出力はAVT-C878 PLUSのHDMI入力端子へ。その後、AVT-C878 PLUSのHDMI出力端子とディスプレーを接続すれば、あっという間にパススルー(遅延なしでゲーム画面をディスプレーに表示する)環境ができあがる。
最大録画解像度が1080p(フルHD)/60fpsなのは前モデル「AVT-C878」と同じだが、本製品はあらたに2160p(4K)/60fpsのパススルー表示に対応した(HDRのパススルーには非対応)。AVerMediaの公式サイトによれば、ディスプレー側への出力を4Kにしたまま、PCを使用して配信したい人の要望に応えたとのことなので、4KディスプレーでPS4 ProやXbox One Xなどのゲームをプレイしている人なら覚えておいて損はない。「4K画質の配信はできないのか」と思うかもしれないが、現状のリアルタイム映像配信は760p(HD)が主流で、フルHD画質でも回線環境によってはスムーズな配信・視聴が難しいため、そもそもあまり現実的と言えないことは記しておく必要があるだろう。
AVT-C878 PLUSにはPCモードと単体録画モードがあり、本体正面のスイッチでモードを切り換えられる。PCモードは専用の配信用アプリケーション「RECentral4」やその他の配信ソフトなどで操作する、いわゆる一般的なキャプチャーデバイスと同じ使用感で、単体録画モードなら、PCに未接続の状態でも本体のボタンを押すだけで録画が可能だ。データの保存にはmicroSDカードなどが必要だが、手軽なので録画用途をメインに購入するのもアリだろう。
録画フォーマットはPCモード時はMP4、単体録画モード時はMOVとなっており、単体録画モード時は本体に内蔵されたエンコーダーを使用している。ただし、単体録画モードの設定を変更したい場合はいったんPCに接続する必要があり、完全なスタンドアロン動作ではないことには注意が必要だ。
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