腕コンからスマートウォッチ、そしてたどり着いたのは……
なんちゃってスマートウォッチ!?
ここ20年近く「スマート」(賢い)という流行語を冠したテクノロジー商品が多い。
何でもかんでもIoTと結び付けることのできる時代に、筆者が昔から興味を持ち続けているアイテムに往年の腕時計コンピュータ「腕コン」がある。
当時は時代の最先端だったパソコンのアドバンテージ(優位性)を腕に装着するというイメージで登場してきた。今から34年前の1984年に登場したセイコーインスツル(SII)の「腕コン」(正式名はUC-2000)は小さいけれど、まさにコンピュータそのものだった。
物理的なスレートキーボードは外付けで提供し、大型キーボードやプリンター付きの大型ドッキングステーションもあった。
プログラミング言語としてBASIC言語を標準搭載し、腕コンでプログラムの実行が可能だった。もちろん、ごく普通のデジタル腕時計としても働いてくれた。
そしてその10年後の1994年には、TimexとMicrosoftによる共同企画商品である「Data Link」という安価な腕時計PCが登場した。
Data Linkは当時の管球式ディスプレーのフラッシュするモールス信号のようなデータを、腕時計の文字盤上に取り付けたカメラで読み取り、PCで管理しているスケジュールデータや電話番号を転送して利用する仕組みだった。
そして、その4年後の1998年には、またしてもSIIが、腕コンのレジェンドともいえる腕時計コンピュータ「Ruputer」(ラピュータ)を発売した。
最後に値崩れするまではそれほど安くはなかったが、私は通算で最低でも3台は買ったと記憶している。
それ以外にも世界中で多くの腕時計コンピュータが切磋琢磨してしのぎを削り、その30数年間に進化したインターネットと画期的に安くなった無線通信のインフラが現在のスマートウォッチワールドを支えている。
ICT世界でも人に期待されるプロダクト(ハードウェアやソフトウェア)は時代とともに変化するが、創成期はすでにある程度まで成長した大きなものをコンパクトにして持ち歩きたいという欲求を満たすために市場が拡大する。
そして成長期には、人間中心のユーザーインターフェースにターゲットが変貌し、扱うデータやコンテンツが増大化し、使う目的が「できる」ことから「便利で役に立つ」方向への転換をはじめるのが一般的だ。
今は少し息継ぎ気味ではあるが、ちまたで人気のスマートウォッチはまさにその時期なのだろう。
各社からスマートウォッチが続々と登場してくると、状況を見てから勝ち組に乗るのも正しい消費活動だが、もともと新しい物好きの筆者などは出るもの出るものすべてを買って試してみたい衝動に駆られてしまう。
もうここ数年でどれくらいのスマートウォッチや“なんちゃってスマートウォッチ”を買ったのか、思い出すだけでもグッタリ状態だ。
そんな個人的スマートウォッチ疲れの時期に、ますます脱力感を感じてしまうなんちゃってスマートウォッチ(的なアイテム)を見つけてしまった。
秋葉原参りでいつも前を通るサンコーレアモノショップがその発売元。もちろん発売日に衝動買いした。

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