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MyAnalyticsで市職員の労働状況を可視化・改善、市民サービスにAI活用

「震災でクラウドの利便性を身をもって体験した」、熊本市がMicrosoft 365導入

2018年04月03日 15時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 熊本市と日本マイクロソフトは2018年4月3日、熊本市職員・教職員計1万2500人の働き方改革を推進する「クラウドソリューションを活用した働き方推進基盤構築プロジェクト」を開始した。熊本市は同プロジェクトで、市職員向けにフル機能の「Microsoft 365」、市内の小中学校の教職員向けに「Microsoft 365 Education」とWindows 10搭載デバイスを導入する。日本マイクロソフトは、クラウド活用の技術支援や働き方改革のアドバイスを行う。

日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏(左)、熊本市の大西一史市長(右)

 2016年4月に発生した熊本地震からの復興が続く熊本市。震災時、日本マイクロソフトは災害支援として、熊本市にOffice 365とSurface端末を無償で提供した。熊本市の大西一史市長によれば、震災発生当初、250カ所以上の避難所と、物資拠点の職員、市役所との連携がうまくいっていなかったが、そこに日本マイクロソフトからクラウドソリューションを無償提供してもらったことで、職員間の情報連携が円滑に進んだという。「このときに、通常使用だけでなく災害時も使えるクラウドソリューションの利便性とメリットを、身をもって感じた」(大西市長)。

 2018年度は、熊本地震の震災復興計画の折り返しの年になる。「震災復興をスピーディーに進めていくために、行政組織のリソースを有効に活用する必要がある」と大西市長。また、市役所の本庁のシステムを再構築する年度でもあったことから、今回、震災復興の加速と、市職員・教職員の働き方改革を推進するためにMicrosoft 365を導入した。4月から全市庁舎の約7000台の端末で、Microsoft 365の利用を開始する。

 Microsoft 365は、Office 365、Windows 10、セキュリティサービスのEnterprise Mobility + Securityをワンパッケージにしたクラウドサービス。熊本市では、Office 365の「MyAnalytics」を使った市職員の労働状況の可視化と改善のほか、機械翻訳を使った多言語化による外国人対応やチャットボットを使った市民からの問い合わせ対応といった市民サービスへのAI活用を進めていくとする。

 大西市長によれば、投資総額は庁内ネットワークなどクラウド以外のIT環境整備費を含めて5年で47憶円の規模になるとする。「年間7~8憶円規模の投資だが、(働き方改革やクラウド化により)業務が10分間短縮されると年間6億円分の節約になる」(大西市長)。

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